「・・・ツナ?」
「いや、コブが良い。俺コブ好きなんだ」
彼は夜のコンビニエンスストアにいた。
時刻は21時を回っていた。夕飯の買い物ついでにプリンなんかを物色しているときに、その夫婦の会話が聞こえてきた。
・・・遅い時刻に。どこかへ出かけた帰りとかかな?それとも晩酌のおつまみにもう一品とかかな?まあ彼には関係ないことだが・・・。
…ところでご夫婦。コブ・サラダの“コブ”って、人の名前だって知ってる?
アメリカのなんとかってホテルで出されるサラダが美味しいと評判で、そのレシピを作ったコブさん(コブハムさんかも知れないしジェイコブさんかも知れない)の名前が付いたサラダがコブ・サラダなんだってさ。
なんて事を光の速さで夢想してから、彼はちらりとその夫婦を方を見てみた。
夫婦はサラダコーナーの前では無くおにぎりコーナーの前に立っていた。
ツナは、ツナマヨネーズだった。
コブは、昆布だった。