Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

やはり国民的アレを・・・

いらっしゃいませ。

・・・ああ、メニューですか?

いや、もちろん増やそうと思ってますよ。

まあ、とりあえず蛇口ひねって下さい。水出ますから。




 彼はいわゆる「ヲタク」ではないらしい。
そう言い張る彼のドラクエ9のプレイ時間がゆうに250時間を超えているらしい。


「いやあ、今ひとつ要領が悪くてコツコツ続ける位しか出来なくて・・・。」


継続は力になるらしいが、モノにもよるよ、キミ。


 そんな彼の手元に先日国民的なアレが宅配で届いた。
ファイナルファンタジー13』。そう『FF13』と呼ばれる国民的ゲームである。大作である。

 しかし、きわめて早朝の電車で出勤のまねごとをし、深夜日付が変わる直前に帰宅するような彼に、そのよう大作を遊ぶ時間があるとは思えない。余裕をぶっこいているが、彼がドラクエ9を遊んだほとんどの時間が公共交通機関を使っての移動中であったことなど既に忘却の彼方なのだ。

 それでも予約してまで購入したいのか?

 自室でぽんやりとしながら遊ぶという時間的な余裕などもはや求められぬ・・・。

 発売開始日、やはり深夜に帰宅した彼は、予想通り全くプレイできる時間などなかった。
しかしながら彼はパッケージを眺めているだけでなんだかやりきったような顔で一人悦に入るのだ。

「ああ、1080pだ・・・。dts対応だ・・・。」


何にそんなに喜んでいるのか?イタいことなんじゃないか?


「『バイオ』も『スト4』も一応HDなんだけど780pだった・・・。これでなんだかせっかくの地デジ対応液晶テレビがちゃんと役に立っている気がする・・・。」


彼はそのまま床についた。満足か?小さき者よ。


 次の日の夜中、彼は『FF13』オープニング映像のみを観て快哉の声をあげた。

「キレイす!キレイす!」

そして再びそのまま床についた。


 その次の日もオープニングだけを観て喜んだ。


 そしてそれ以降、未だに先に進めることは出来ていない。


 彼は忘れているのだ。やろうと思ってますよゲーム達の山を。
予約までして買った『メタル・ギア・ソリッド4初回限定版』がオクトパスを倒したところでセーブされたまま放置されていることを・・・。

「やりますよ!いつか。近いうちに。きっと。」


・・・ああダメな人よ。
その『いつか』が来るのが早いか、世界から核兵器が廃絶されるのが早いか?