Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

 いらっしゃいませ。


 ああ、今ちょっと開けてないんですよ。

なんだか近くで水道管の工事があるらしくて、しばらく水が出ないとかで・・・。

何か大きな容器とかに予めためといておけば良かったかなあ・・。その上、水道が出るようになっても、少しの間赤い水が出るとかで・・・。


いっそそいつをトマトジュースだとか言って出してみるとか・・・・は、さすがにしませんよ冗談ですよ。


まあまた来て下さいよ。


純粋な淀川水系の水をお出ししますから。



 彼は前回の続きとして、劇団『からここたち、』の公演、『蝶の棲む家』の観劇日記を書こうとしている。

しかも、音響効果についての感想だとか!!そんな上から目線の内容で大丈夫なのか!?


「えーと、そんな大層なことは書かないので・・・」



 彼は音響さんの仕事っぽい物もしているが、一言にPA仕事といっても内容は様々だ。それは小さなライブかも知れないし、パーティー会場のスピーチとかを拾うことかも知れないし、ショッピングモールのイベント広場の景品交換所の音響かも知れないし・・・。とにかく様々だ。


 で、今回は小劇場の演劇の音響であるが。ポイントは?

「うーん、今回観て気になったのは、SE(効果音ね)が舞台のどの場所から出てるのかが気になって・・・」


彼はこの芝居を下手(しもて)の端で観ていた。・・・どうかした?


「や、舞台の上下(かみしも)を説明するのが面倒くさくて・・・」


ひどい発言だな!とにかく舞台に向かって左の端で観ていたわけだ。


「・・・そしたら舞台の上手(かみて。まあ、舞台に向かって右側としよう)に置いてある電話が鳴るシーンで、下手のメインスピーカーから音がしててさ。というか上手側も鳴ってたんだろうけど」


つまり、キミが観ているところでは、音は左から聞こえるのに、電話ははるか舞台の右端にあって不自然に感じたって事か・・・。



「まあ、気にしない客は気にしないし、些末な事と言えばそうなんだろうけど、演劇の音響さん的には気になったね」


ふむ。やや上から目線になってきているが続けたまい。



「そもそも、本来舞台上で起こってることを表現するSEなら、メインスピーカーではなく舞台内に仕込んだスピーカーからならすべきなんだよね。額縁の中で起こっている事の音は額縁の中からしか聞こえないはずなんだよ」


だからなんだかおかしく聞こえるわけか。


「別に電話にスピーカーを仕込む必要とかまでは言わないけど、せめて上手のどこかから聞こえているってプランは必要かと」


ふむ。まあ、ホールの機材が足りなかったとか、舞台装置的にスピーカーが仕込めなかったとかあるかもだけどね。



「こういう極々普通のSEに対するプランとかがちゃんと出来てないときっとミラクルは起こらないと思うよ」



徐々に偉そうになってきたな!



「雑な舞台装置とシンプルな舞台装置は明らかに違うし、ちゃんとプランニングした地明かりとサスがあれば変な効果なんかより余程説得力があるし、手を抜かない効果音はそれだけで舞台上に生活感や空気感が生まれる。これらのスタッフワークがしっかりした上での役者の演技なわけだし」



なるほど。偉そうなお説教、小人の特徴だな!・・・まだ何か?


「スタッフは単に縁の下の力持ちとか、演者を引き立たせる物では無くて・・・スタッフはみんな同じ舞台に役者と同時に立ち演技し、出演しているんだと思っていただければ」




まあ、今回はお客で観に行ってるのでちょっとくらい偉そうなダメは有りって事で・・・。自分が公演打つときに同じ感想をお客さんに持たれないように!


「・・・肝に銘じます・・・」


なんせ小人は批判・批評に弱いからな!


「あと、芝居自体はちゃんと恩田ワールドで、普通に好感が持てました。誤解がないように」