Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『太陽の塔』 森見登美彦を読む

 いらっしゃいませ。

 雪が降ったりして、外は寒いですね・・・。


暖房がしっかりと効いた部屋で、冷たい水をぐっと・・・。


なかなか良い画ですね。


ビールとかアイスクリームとかですか?いやあ、そこは透明な水が美しいんですよ!




 またまた彼は昔に読んだ本について書こうとしているようだ。
今回は何について書くのかね?




森見登美彦氏のデビュー作、『太陽の塔』について書こうかなと・・・」




キミは森見氏がかなり好きなようだね。ところでこれもかなり前に読んでるね。




「それほどでも無いかな・・・『四畳半神話体系』が文庫落ちする直前くらいだったような気がする」




どんな内容の本かね?



「『私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。』 なんだそうだ」



と、文庫本の裏表紙に書いてあったわけだ。またまた楽をしようというわけだ。




「というか、ネタバレ覚悟で内容に触れると、この作品序盤は『ストーカー文学』としてスタートする」



なんだそりゃ。




「フラレ男が元カノをつけ回し、行動を分析、膨大な量の『(元カノ)水尾さん研究』レポートを作成しているところから物語はスタートする」




それのどこに『ファンタジーノベル大賞』を受賞する要素があるのか?




「それを、書き出すと本当にネタバレになりそうでアレなのだが、とにかく最終的にはファンタジーっぽいところに着地させている、と思われる」




ここまでの時点では不気味この上ないだけで、どこにオモシロイ要素が入っているのかが全く不明だな。





「まず、文体。デビュー作ということもあり、氏の特徴とも言える文士的な語り口がかなり強調されている。これをウザイと感じるか良いと感じるかは人それぞれであるが、個人的にはそのまどろっこしさがかえって気持ちが良かった。もっともらしく堅苦しい文体なのだが主人公のクサレ大学生がやってるのは、(本人は否定しているが)明らかなストーカー行為。そのギャップが不思議とはまる」




ふむ。



「そして主人公がクサレ大学生なだけに、日常の描写はあくまで泥臭い。それが、するするとすり替わる幻想世界とのギャップを生み、ファンタジーの世界(?)が際立って見える」




そういえば、氏のバカ売れ作品『夜は短し歩けよ乙女』も、ちょっとストーカーチックだな。




「原点は『太陽の塔』なんだろうね。まあ既に振られているところからのスタートと、ちょっとでもお近づきになりたくて、って違いはあるけどもね」




よく、『京都』ってくくりで万城目学氏と比較されたりしているが・・・




「全くの別物。比較したり同じくくりで考える奴の気が知れん」



ほう。



「万城目氏は、京都が舞台の作品(鴨川ホルモー)の次は奈良(鹿男あおによし)だし、その次は大阪(プリンセス・トヨトミ)だし」



そういえばそうだな。




「文体も万城目氏は、森見氏よりももっと現代的だ」



小説の内容からして現代的だしな。




「まあ『鴨川ホルモー』は良くできていたけど、それ以外は小説としては断然森見氏の方が好みだな」




・・・なるほど。でも、なんだかんだ言って万城目氏も読んでいたりするんだな・・。




「森見氏の描く、不思議な京都のイメージが良い。時に泥臭く、時にキラキラで輝いていて。あと、作品ごとの世界がリンクしていて、それを発見するのも面白い。伊坂作品みたいな感じ」



森見氏の本の感想はまた書くのかね?



「忘れた頃にまた書きますよ。あ、あと『猫ラーメン』がすごく気になる」



なんだそりゃ。・・・まあ、好きな作家がいるって事は良いことなんだろうな、きっと。


そのテンションで人見知りもなんとかせよ、小人!