Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『GOSICK』 桜庭一樹 を読んだ

 いらっしゃいませ。

 ・・・そうそう、ミネラルウォーターの硬度って気になりませんか?


あまり硬度が高いと飲みにくいんですよね。まあ好きな方はその分ミネラルが豊富なんだって言いますが。


うちですか?飲みやすい軟水、ヨドガワ・ブレンドですよ!




 彼は先日桜庭一樹氏の『GOSICK』を読んだそうだ。今回はその感想を書こうとしているらしい。

初めての桜庭作品、かな?



「初めて。でも初めてがこの作品はちょっと失敗だったかもしれない・・・」



「失敗」とは穏やかではないな。



「別に面白くなかったわけではなくて・・。何の事前情報もなく本屋さんで何となく手にとって買ったんだけど・・・。これって元々ライトノベルなのか?」



キミは角川文庫の新刊として購入したわけだな。




「でも、どうも元々富士見ミステリー文庫から出版されていた物らしい。読み終わってから巻末を観て知ったんだけど」



・・・ふむ。どうやらやはり元はライトノベルっぽいですな・・。



直木賞作家のミステリーって事で、しかもタイトルがゴシック(GOSICK)なんで、クールでちょっとダークな内容をイメージして買ったんだけどね」




そういえば本来ゴシックの綴りは「gothic」で、ちょっと変えてあるんだよな。



「表紙の絵柄も角川の物は別段ライトノベルっぽくないのだが、先ほどネットで富士見版の表紙の絵柄を見ると明らかに昨今のライトノベルの表紙であった・・・」



キミが読むにはちょっと物足りなかったかね。



「うーん、あまりにもわかりやすい文章だった。ライトノベルを読む年齢層に合わせた作りなんだろうね・・・」



どんな内容の本なのかね?




「前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。彼女の頭脳は学園の難事件を次々解決してゆくが、ある日ヴィクトリカと一弥は豪華客船に招待され、そこで本物の殺人事件に遭遇してしまう。やがて彼ら自身に危機が迫ったとき、ヴィクトリカは―!?」



またお約束の文庫本の裏表紙のそのまま写しだな?




「これも出版元への配慮と極力ネタバレを避けた究極の形だと思っていただきたい!」




あらすじを書くのが面倒くさく、かつ上手くまとめられなかった、の言い訳だな・・・。




「・・・当たらずとも遠からず。とにかく、極めて分かり易い文章、そしてすっぱりと分かり易い伏線。小難しいことを考えるまもなくさらっとエンディングをむかえる」




それは面白くなかったということかね?



「・・・うーん、面白くないって訳ではないけど・・・、気負って読み始めたので肩すかしを食らった?そんな感じ」



では、逆におすすめできるポイントはどこかね?



「非常にキャラ設定が分かり易い!なので5分も読めば脳内に架空の国「ソヴェール」の風景、ミステリーの探偵役となるヴィクトリカ(少女だが男性の名前らしい)、それに探偵のサポート役で物語の主人公である久城一弥のヴィジュアルが浮かび上がってくる。そのため極めて簡単に物語の中に入り込める感じ」



ふむ。




「最初からこれはライトノベルでありますよって事で読み始めると読み方も変わったかもしれない」




では、その文章の容易さとか軽いミステリーであるって事以外に何か気になった点はあるかね。



「読み始めてすぐに気がつくが、すでに久城一弥とヴィクトリカは出会っていて、いくつかの謎を解明し、お約束のように出てくるへっぽこ警部とも既に面識があり、今また新たな謎に直面するって体で物語が進む」




ほう。




「まるで連作シリーズの第三巻あたりから急に読み始めましたぐらいの勢い。本当にこれ以前にシリーズがないか読了後にネットで調べてしまった」




どうだったね?



「結局はこれはシリーズの一作目で、その後に物語は続いていっているようだ。ただ、時系列的にこの第一巻の物語の以前の出来事達が短編集の一巻目にあたるらしいが」




 今回読んだ物の続きが富士見ミステリー文庫で出ているらしいが読むかね?角川からも出るらしいし。



「・・うーん、とりあえず今読もうと思っている本達を片付けてから考えます」



しかし、ライトノベルを大人向けの文庫で出し直すのってのは良くあることなのだろうか?




有川浩氏の『塩の街』も電撃文庫だったのが最近角川文庫から出たようだし」





まあ、あの表紙や挿絵の絵柄には好き嫌いあるだろうし、それで一般の方が買いやすくなればそれもまた良しか。



「『塩の街』も読んだけど、これは最初からライトノベルだと割り切って買ったから耐えられたけど、個人的にはあのライトノベルのちょっと『?』な絵柄は正直購入意欲がわかない」




で、どうかね。今回の『GOSICK』はどうかね。おすすめできる本かね?



「あまり読書したことがない中学校一年生の方、肩慣らしにいかがでしょう。活字アレルギーであまり難しい本はどうもなという奥様、午後の一時にいかがでしょう」




まあ、軽く読める冒険活劇ってことですな。



「主役の二人、なかなか魅力的です」



ヘビー文章好き以外にはそこそこ勧められると言うことで。




しかし今回も上から目線ぎりぎり一杯であった!謙虚という言葉を覚えるのだ!小人よ!