Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

観劇日記 『家、世の果ての……』 「極東退屈道場+水の会」 を観に行った

 いらっしゃいませ。


 ・・・どうしたんですか?どうせ水しか出ないだろうって顔ですね。

その通りですよ。さあ、コップを持って蛇口へどうぞ。





 今日彼は、伊丹アイ・ホールへ観劇に出かけた。




極東退屈道場+水の会 『家、世の果ての……』 作・如月小春 演出・林慎一郎(極東退屈道場)
初演:劇団綺畸(1980年)


 
 出演者のSN嬢(素敵女子)よりお誘いを受け出かけていったらしい。観劇の感想などを書きたいらしい。


 どんな内容の話しかね?


「公演中ということもあり、あまりストーリー的な物には触れることが出来ないので、SN嬢(磁石的)からの案内に記載されていた文章をそのまま転載したいと思う。

 ・・・・・はな子が犬を連れておつかいにでかけると「スーパー不夜城」が見下ろしていた。うすくれないの地図を頼りに、人混みをかき分けかき分け、道行きを急ぐ一人と一匹。
やがて、トーキョーが昨日と同じメロドラマの中に暮れるころ、錆止めの朱い階段上のアパートから、百合子、さらわれる。残された紙切れ一片。「家、世の果ての……」辺境にある氷漬けの食肉工場で少女はつぶやく…………………」




 この内容を見る限りでは分かり易いストーリーが記載されているが。




「うーん、物語は幻想の中で進行し、なかなかに難解。上演後に芝居慣れしていないであろう隣のお客さんの『難しかったわぁ・・・』というつぶやきに全てが語られているような気がした」



難解だったのかね。



「まあ、ストレートな表現では無かったし。80年代の演劇ってこういう表現をしていたんだなあと思ってみたり。その頃は自分が舞台に関わるなんて思っても見なかったんで、『古典』に改めて触れている感じ。」



台詞の表現に独特な演出がされていたようだね。




「単語、特に名詞を強調するためにあえて文章の途中で台詞を区切ってみたりしていたね。前述の隣のお客さんには『台詞、噛んでたわよねえ』という感想を持たせてしまっていたが。もしかしたら言葉の強調は台本の時点で指定されていたのかもしれないが」




 まあ、ストーリー物ではないと言うことは物語について聞くのは少々難しいようだな。そういえばつい最近『阿佐ヶ谷スパイダース』の作品で難解であったとかって書いていた気がするが。




「・・・うーん、『アンチクロックワイズド・ワンダーランド』に比べれば、観終わった後はちゃんと着地点が用意されているのでまだ素直に飲み込むことが出来る台本だと思う」




 ストーリーで見せない芝居であったわけだけど。




「たたみかけるような台詞の量と、そのリズム。不可思議な世界観をさらに不可思議に見せる言葉遊びの中にじんわりとストーリーがあるというか・・・」



そのリズミカルなテンポと不可思議な世界観をお客さんに見せたいわけだな。



「と、解釈したけど、実際に劇作する人や、前衛チックな物になれている人はもっと他の感想を持つかもしれないね。まあ、あんまり『前衛』だとか『アングラ』なんて言葉は使いたくないんだけどね。十把一絡げでそれに括られそうな気がするし」




なんだか小難しいことを言い出したな。最終的にろくでもない論理を展開しそうなので、そのあたりにせよ。
ほかに何か印象に残った事は?




「ネタバレになるかもなので、気になる方はこの先読まないで。

BGMの選曲が3カ所ほど個人的にツボであった!まず、途中の芝居のブレイクポイントになるダンスシーンの曲が往年のディスコの名曲、『めざせモスクワ』であった。80年代って事での選曲なのかな?なんだかすごく一人盛り上がってしまった。

次もダンスシーンで使っていたパフュームの『ワンルーム・ディスコ』。これも使い方もキュートであったし、個人的に盛り上がった。


そして、本当に本当のオーラスの曲が、現代音楽と昨今のミニマル・ミュージックを繋ぐ偉大な音楽家スティーブ・ライヒの『ドラミング』。現代音楽の名曲中の名曲を持ってくるセンスはナイス。これも一人盛り上がった。芝居の間のBGMのほとんどがミニマル系のテクノミュージックを使用していたので、そのアンサーソング的な物かと一人で納得してみたり」




ポイントにしっかり分かり易いアイコンとなるようなBGMを使ってメリハリをつけていたわけだな。




「あと『めざせモスクワ』と『ワンルーム・ディスコ』の使用ポイントは両方ともダンスの部分で使われていたのだが、両方ともかなり難しい振り付けがなされていた。特に『ワンルーム・ディスコ』は元々のパフュームのダンスがかなり難易度が高い振りなのであるが、部分部分でかなりしっかりコピーしているようだった」




ふむ。難解な芝居に分かり易く楽しい音楽にダンス。そこでバランスをとっていたのかな。




「明日、2010/02/28も伊丹アイ・ホールで公演されているようです。興味のある方はいかがでしょう」




伊丹アイ・ホール

http://www.aihall.com/




・・・・まだ何かあるのか?




「SN嬢、素敵でした」




・・・・そこへ帰結するのか。小人ぶりもたいがいにしたまえ!



素敵女子 SN嬢が所属する、『Fellow House』のホームページ

http://fellowhouse.nobody.jp/