Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『木曜組曲』 恩田陸 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 海外で取水されたミネラルウォーターって、よくよく考えてみればそれだけ輸送コストが掛かってるんですよね。

うーん、ヨドガワ・ブレンド、エコですよね。



 彼は最近恩田陸氏の『木曜組曲』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかを書くらしい。

そういえば、以前劇団『からここたち、』の芝居で『木曜組曲』を元にした芝居を観に行っていたが。




「やっと原作を読み終えた。」




まず、『木曜組曲』自体どのような内容なのかね?



「心理ミステリー、かな。

耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、いつしか告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子は、自殺か、他殺か―?

といった感じ。」




今回はアマゾンから持ってきたか。毎回毎回手を抜くな・・・。



「だから、必要以上にストーリーをネタバレさせないのはこれが一番なんだって」




言い訳に続いてちゃんした感想を述べよ。




「上記のあらすじに補足することとして、絵里子とえい子以外は薬物死してしまった重松時子と血縁関係がある。遠縁のいとこであったり異母姉妹であったり」



それはストーリー上重要なことかね?




「…うーん、死んでしまった重松時子は鋭いセンスを持った作家として描かれていて血縁関係者はその時子の影響を多大に受けているという設定。ただ、その血縁関係や相関がなかなか入り組んでいてすんなり把握するのは難しい」




それは読む上で問題にはならないのかね?



「個人的には人間関係を思い直すたびに読書のリズムが落ちたように思う。まあ最終的には『編集者のえい子以外はそれぞれ時子に影響を受けた若手文筆家』ってくくりで括ってしまっても何となくいけてしまうかと」




キミはそのあたりが本当に悲しい頭脳の持ち主だな。



「いや、ちゃんと把握して読んでたよ!ただ関係性にこだわると少々リズムが重たくなるので」




 芝居と原作、両方を観たわけだが。



「芝居は限られた尺に良くこの長編を入れ込んだと思うね。なかなかがんばっていたと思う。思い切ってぶった切るところはぶった切ってあって、それはそれで正解だと思った。ただ晩年の重松時子の妄執的なものが描ききれていなかったかな。原作の方は人間関係のややこしさをフォローする部分が少々くどく感じられた。ただ、単に“知り合いである”というのでは確かに時子が死亡してから四年間も連続して偲ぶ会のパーティーを行い続けているってのはちょっと薄いかも知れないな」



 ふむ。



「それと、それぞれが文筆家として小説などに強い執着を持っていることがしっかりと描かれている。書くことが好きなだけでなく、書くことでしか生きていけないというか。作家ってこういう性分なんだよとじっくりと語られている」




小説家という表現者だからね。




「なので、死亡した重松時子の小説への妄執のようなものに登場人物はとらわれ、四年間もその思い出にずるずると引きずられてしまう。そしてその思いからパーティーの席上で四年前のその日の記憶の闇の扉を少しずつ開いていく・・・」




 そういえばこの作品は映画にもなっているらしいね。



「なかなか難しいだろうね。心象は結局台詞で表現することになるだろうし。表現しすぎると説明台詞になってしまうし」





 今回原作を改めて読んでみてどうだった?



「たった三日間の間に起こる話しなんだけど、読んでみると密度はかなり濃い。それがじわりじわりとゆっくり、重苦しくすすむ。小振りな洋館のキッチンとダイニングだけでほぼ完結している物語なので、読んでいて心理的に圧迫感を感じているのかも知れない。あとさすがに文章だけなので料理の表現が多彩。基本食事しているシーンがメインなので、そのあたりの表現には力が入っていたね」




ふむ。



「ただ、さっきまでちょっと気まずい雰囲気だったのが、すぐ和やかな雰囲気になったりと心理状態の移り変わりに少し無理があるのではないかとも思った」




 恩田作品はまた読むかね?



「多分また読みます。とりあえず今読もうとしている本をもう少し始末してからだけど。お勧めがあれば是非教えてもらいたいと思う。まあ多分次ぎ読むとすれば『麦の海に沈む果実』と『黄昏の百合の骨』かな…」




まあとりあえず今読むべき本を始末していきたまえ!物欲に生きる小人よ!