Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

サブとメイン

 いらっしゃいませ。


 ・・・いや、ちょっと・・・。


念を入れると美味くなるかと・・・。ハーッ!今です!グッと!

 
・・・そうですよね・・・。淀川の味ですよね・・・。



 彼は観劇や、映画を観に行ったとき等にいつも思うことがあるらしい。


サブカルチャーとそうでないものの線引きが分からない・・・。何がサブカルで、何が文化のメインストリーム?どこまでがサブカルカルチャーで、どこからがメインカルチャー?」



うーむ。例えばどんなときにそれを思うかね。



「時々、大枚はたいてチケットを取って人気劇団の芝居を観に行ったりすると思うね・・・」



 彼は昨年暮れ、『劇団新感線』の公演を観に行っていた。主演は上川隆也。超有名俳優。一万円近くのチケットをで、一回の公演で半月近く公演を行い、全国で4カ所で公演を行う。会場も大きい。殆ど千人越えのホールで、毎回満員である。

出演者もメジャー、劇場も有名劇場、お客さんも多い。

でも、『普通の人』に「昨日、劇団新感線の芝居観に行ってさあ」と話しを振っても、「新幹線?」というリアクションしか返ってこない。

「いや、有名劇団で、超満員で、出演者も超有名で、」みたいな説明をしても、「・・ああ、演劇?芝居ね。随分とマイナーなものを楽しみに行ってたんだねえ。うぷぷ」というコメントが顔に書いてある状態で「へえー。よかったねえ」と適当な相づちを打たれて終わってしまうことが多い。


単純に計算しても、すべての公演を合計すると(ホールの大小はあるだろうが)、のべ2〜3万人の観客が観ているものと思われる。それだけの集客を出来るエンターテインメントがマイナーなのであろうか。



「商業的に成功しているエンターテインメントであっても『演劇』という括りに入ったとたんにマイナーなものになってしまうこの不思議な感じ。商業的に成功している劇団でも、それは『サブカル』なのか?」




 例えば、大泉洋はメジャーで、でも所属する演劇ユニットTEAM-NACSはマイナー?演劇はサブカル?そんな感じ?



 「他にも昨年『エヴァンゲリオン』の新劇場版を観に行ったんだけどね」



彼が神戸で観に行った劇場は、おそらくキャパ200席くらいの小さなものだった。なぜ神戸ではそこでしか上映していなかったのかはとりあえず置いておいて、とにかく早朝から深夜までフルに上映し続けて、どの回も殆ど満席。単館上映などが多いその劇場では上映期間が2週間くらいなんてこともざらにあるのだが、異例の上映期間の長さ(おそらく二月くらい)であった。



「それだけの集客で、でもアニメの映画ってことになると『普通の人』には『まあ、マイナーではないけど、アニメだよね』という反応であるわけだ」



日本が世界に誇る「ジャパニメーション」は国も認める『文化』じゃないのかい?



「うーん、どんなにエンターテインメントであろうとどんなに商業的に成功しようと、『アニメ』は『本流』ではなく『サブ』なんだよなあ・・・。なんとなく」




 そういえば、今度『世界的に有名なパフォーマー』の公演を観に行くって言ってたな。



「これも世界的に有名でも国内ではそれほど有名ではないし、『パフォーマー』ってなった瞬間に何となくサブなんだよな、扱いが。日本人的?」



 難しいな、『文化的』って。キミが関わっている小劇団系の芝居はまさに『サブカル』なわけだが。



「そのあたりは『サブ』で括られても仕方が無いと思うんだけどね。ただ大きい小さいの差はあっても『演劇』であることにはかわりはないし。それより『演劇』全体が『サブ』ではないような感じにならないと、『文化』としてそれ以上伸びていかないような気がして」



『文化』であるという認識が一般から無いと、ずっと『サブ』のままというわけか・・・。


まあ、キミごときが考える話しではあるまい。文化人類学とかの人に任せて、キミはキミの出来る『文化的』な事に励みたまえ!