いらっしゃいませ。
ええ、今日も水ですが何か?
先日彼はMT嬢(素敵女子)と会話しているときに言われたらしいのだが、「舞台関係のスタッフさんで、音響さんが最近凄うと思うんです!」と言われたらしい。
「何だか改まって言われると自分だけのことじゃないのに嬉しかった。照れくさくもあったけど」
MT嬢曰く、「パフォーマンスやってて、しゃべり出したらちゃんと言わなくてもBGMの音量下げてくれるし、盛り上げるところは音量上げてくれるしで、何だか至れり尽くせりで・・・」
MT嬢 「他にもイベントとかで、『何かで繋いで下さい』って言ったらつなぎの曲が何か出てきてしかも雰囲気良かったりするし」
彼 「そうですねえ・・・。個人的には時間的に制約が大きい照明さんとかの方が凄いと思うんですけどね・・」
まあ、キミもイベントや芝居の音響の経験があるらしいから何かコツみたいなものを持ってるのではないかね?
「・・・うーん、特にあるわけではなく・・・。イベントのBGMに関しては、どんなイベントか予め聞いていればそれ用のCDを20枚くらいワン・パッケージにして持って行くね。色々応用が利くように選曲しておいて」
例えば?
「パーティー用とかだと飯食ってるときのBGMとゲーム大会とそれ以外の泣かせる演出用とみたいな感じでワン・パッケージ。結婚式は更に乾杯用の曲(和式・洋式も考慮に入れて)だとか、メッセージや電報を読む時用だとか花嫁の手紙用だとかなんちゃらかんちゃらでワン・パッケージ。TPOにあわせて持って行く」
極めて分かりやすいな。
「イベントが何か分からない場合は汎用性を持たせて『何にでも使えます』セットを持って行く。で、後は必ずサウンドチェック用のCD。実はこれもしっかり汎用性を持たせたものを使用しており、夜のカクテルパーティーや、芝居の客入れなんかにかなり万能に使用できるCDを使っている」
なるほど。
「芝居の選曲は・・・、結局は経験則になるんだろうか・・・」
キミの場合はどんな感じで選曲しているのかね。
「・・・まずバックに曲が必要であるシーンを稽古で見て・・・、で、そうしたら脳内におっきな片付け箱が二つか三つあるんだけど・・、そのシーンが『おやくそく』なら話が早い。『お約束箱』を開けたらお約束の曲の『イメージ』が入っているのでその曲のイメージに合ったものをライブラリの中から探す。無ければレンタル屋さんで視聴しまくることになる。・・・で、そのシーンが『おやくそく』で無かったら次は『セオリー』の片付け箱を開ける。極めてオーソドックスな曲のイメージが入っているのでそれにあった曲をライブラリから探す。例えば『悲しいシーンに悲しげな曲』とか。そんな感じ」
ようするに、脳内のその『片付け箱』にどれだけイメージが蓄積されているかと言うことか。
「まあ、端的に言えば。だから結局たくさん曲を聴くしかないのかも知れない」
それだけの問題かね?
「いや、演出さんが最終的に求めるのは『それ以外』の箱の中。結局は選曲するときも個人的にはそこに行き着くし」
『それ以外』とは?
「悲しい場面に、悲しい曲をかけないとか、コミカルなシーンで悲しい曲を合わせるとか・・・」
ふむ。
「そういったこと成立させるのが『それ以外』の箱の中のイメージ」
その、『それ以外』がたくさんストックがあればあるほど良いわけか?
「良いとか悪いとかではなくて・・・、色々なことを試すことが出来る。アプローチの仕方も変わる」
なるほど。他には?
「完全に自己満足の世界だけど、BGMとして以外に二重の意味を持たせてみたり」
よく意味が分からないが・・・。
「例えば曲のタイトルがそのシーンにリンクしているとか、他のシーンで使った曲のバージョン違いであるとか、わざと歌入りの曲をつけて、良く聞くと(外国語だったりするが)、歌詞の意味が芝居にリンクしているだとか・・・。そこまで考えて芝居を観る人間は絶対にいないけど、実は良く聴くと意味があったりするようにしてみたり・・・」
全く不要な作業じゃないか?
「逆に、はまります。シーンに。不思議と」
ふむ。
「あと、単純にその曲が好きだからって理由で無理矢理ねじこむ場合もあったり」
まあ、本当に使えればそれでも構わないんがろうが・・・。とりあえず脳内で起こってることを漠然と書いてもおそらく他人には全く理解不能だと思うが。もっと分かりやすい文章を心懸けよ!