いらっしゃいませ。
『え〜、右手に見えますのが窓、窓でございます。・・・そして、左手、手前がカップの入った食器棚、奥が水道の蛇口、蛇口でございます。・・・・それでは、ただいまより30分のフリータイムといたしますので、どうぞご自由に雄大な自然の息吹を感じる「ヨドガワ・ブレンド」をご堪能下さいませ〜。』
彼には人に誇れる物が何もないらしい。
「自慢話出来るような物もないし、飲み屋で披露できそうな小ネタもない」
・・・で?
「なので、自慢できそうな知り合いの人について書いてみようかなと・・・」
・・・キミ、それは、『友達の知り合いがアルカイダで・・・』とかっていうクサレ政治家くらいイケテナイ前振りではないのかね?
「『友達の友達はすでに友達ではない』事ぐらいは理解しております。今回は『師匠』の話しを」
ほう。『師匠』。
「演劇音響のイロハを教えていただいた方だ」
ふむ。
「某校で音響系の授業をもっておられるので、教えを受けた人は多数だろうね・・・」
ほう。
「殆ど初心者に近い状態であったときに、PM3000(まあ、YAMAHAの旧型の業務用のでっかいミキサーだ。ビギナーは前に立つのも恐ろしいであろう)で、500人近い観客を相手に公演を行う勇気をいただいた」
ほほう。公演はうまくいったのかね。
「何とかね。初心者ばかりで卓に3人も群がってる状態であったけど」
で、その『師匠』さんの話しだが。
「『師匠』は舞台音響以外にも、テレビや映画の音響効果などをされておった方で」
ふむ。
「その昔、『必殺!』シリーズの効果音なども担当されており、あの刀を突き刺す『ボジュッ!』って音、『師匠』が考案されたんだそうだ」
なんと!
「・・・これくらいなら少しは話の種になるかな?」
十分だろう。
ところで、あの音はどのようにして作られておるのかね?電子楽器とかで作成しているとかかね。
「作り方も教えていただきましたが、残念ながらここでは書けません・・・。教えてもらった当時、個人で持っていた機材では作ることは出来ませんでした。ここで書けることは極めてアナログな手法で作られているということ。別に極秘にするような物では無いんですが、大きな声でぺらぺら喋るべき物でもないような気がしますので・・・」
ふむ。で、キミは他人様の話で自己顕示欲と自尊心を満足させたわけであるな。満足かね。
「・・・また話の種になりそうな方を探しておきます・・・」
自らを語れるような人間になれ、小人よ!