いらっしゃいませ。
水、飲んで下さいね。むふふ。
過日、彼は、ピッコロ劇団オフシアター、『ワーニャ伯父さん!』を観に行った。今回はそれについて感想とか書きたいそうだ。
兵庫県立ピッコロ劇団・オフシアターVol.23 『ワーニャ伯父さん!』
訳・演出・島守辰明 (ピッコロ劇団)
於・ピッコロシアター中ホール
今回は(も?)、出演者のA・H嬢からのお誘いで観劇に行ったわけだな。
「古典を不勉強であったので、チェーホフ作品は全く初めてでした」
お約束の『三人姉妹』とかも?
「全く存じ上げませぬ」
で、その全くの予備知識無しで観た『ワーニャ伯父さん!』は、どんな感じであったかね。
「まず人間関係に疑問が湧きましたね。当時のロシアでは当たり前の人間相関なのかも知れませんが・・・」
ほう。
では、あらすじっぽいものでも書いてみなさいよ。
「単純なんだか複雑なんだか・・・。
ワーニャ伯父さんと姪のソーニャの住む地主屋敷に、ソーニャの父の引退した大学教授のアレクサンドルと、後妻のエレーナが来た。どうやらリタイア後の人生をこの田舎の農園で過ごす気らしい。
アレクサンドル元教授は、夜更かしで朝寝坊なうえに、尊大で身勝手な性格。美しいだけでなにもしないエレーナと共に、一家の生活を狂わせてしまう。巻き込まれた屋敷の人たちはすっかり仕事もおざなりになってしまう。
ワーニャは、教授の前妻(ソーニャは彼女の子供)の兄で、長年にわたって教授を崇拝し、彼のために領地を管理してきたのだが、一緒に生活するようになると教授のわがままな振る舞いに失望する。また教授の後妻のエレーナに思いを寄せていて、言い寄ったりもしていた・・・。
教授の診察をしに来る医者のアーストロフも森林保護を生き甲斐にしているが、エレーナに気がある様子で、ひそかに彼を慕うソーニャは失望する。
ある日、教授が都会で暮らすために領地を売りたいと言い出したことから、ワーニャの怒りが爆発し、教授をピストルで撃つが、弾丸ははずれる。
教授は屋敷を売ることをあきらめ、妻エレーナと共に近くの都会に逃げるように旅立ち、屋敷の人々の生活は元の日々に戻る・・・。」
あらすじ?
「・・・うーん、ほぼこんな感じのストーリー・・・」
ネタバレとかあるかもですが、古典なのでお許し下さい・・・。
「今回良く理解できなかったのは、アレクサンドル元教授が、リタイア後に暮らす場所を、前妻の実家にしようとしたこと」
ふむ。
「日本人的考えなのかも知れないけど、前妻の実家って(恐らく死別したのだと思うが)、妻が居なくなった瞬間に縁遠くなってしまうものではないかと」
そうだなあ・・・。
「基本的に盆暮れ正月に挨拶に行くくらいの関係になるんじゃないのかな・・・。いくら実の娘が暮らしているとはいえ・・・」
まあ、仮に縁遠くなっていなくても、長く居座る環境ではないだろうな・・・。
「しかも直接血のつながりのない後妻を伴って。前妻の実家には何の関係もないと思うのだが、当然のように長逗留する」
ロシア的には当たり前なのかもな。
「その上、元々のその土地の地主の息子が落ちぶれて一緒に居候している」
全く血縁は無いな・・・。おおらかというかアバウトというか・・・。
「相関図的には理解できるのだけれど、根本的な血縁的部分がもう一つ納得いかず」
まあ、そのあたりは物語の大筋には関係しないところだし、適当で良いんじゃないのかね・・・。
他に感想的な事はないのかね。
「シンプルな舞台セットに好感が持てました。窓にも棚にも机にもなる家具のようなセットを任意に舞台上に動かしてリビングやワーニャ伯父さんのプライベートルームを表現していて、分かりやすかったですね」
ほう。
「ただ、その舞台転換自体はちょっとまどろっこしい。見せる転換で、転換も芝居の一部なんだけど、ちょっとだらけて見えたね」
なるほど。ほかには?
「旧知の俳優タケポン君、ナチュラルな感じの芝居で大変好演であったように思います」
ほう。
「全体として芝居のテンション自体も高かったし、恐らくもっと長々した物語なんだろうけど、簡潔にまとめられておりましたね」
なかなかに好評価だな。
「よかったと思いますよ。全体的にも」
まあ、またお誘いがあれば観に行きたまえよ。