Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

映画 『ソラニン』 を観た

 いらっしゃいませ。


 え?メニューですか・・?

そういえば最近メニューの存在をすっかり忘れているような・・・。





 彼は過日、休養日であったので、ブルーレイディスクを買いに行き、映画を観、行きつけのイタメシ屋『テゾーロ』で晩飯をとるという、まさに休養日な感じで過ごしたらしい。

休養日はガンプラの日ではなかったのかね。





「・・作業しておりません・・」




おや。





「サボったと言われても仕方ありませんが、映画を観る方を優先させてしまいました・・・」





まあ、出来るときには作業を進めるようにせよ・・。

で、今回は映画の話かね。





「映画の話です。BD買いに行ったときの話も、ご飯の時の話も別で書くかも知れませんが、今回は映画の話です」




何を観に行ったのかね。





宮粼あおい主演、『ソラニン』を観に行きました。やっと観ることが出来ました」











ほう・・・。

まず、一応内容から書くかね。





「青春群像的な物語、でしょうか・・・。


 芽衣子と種田は大学の軽音楽サークルで知り合い、卒業後もつきあっている仲。芽衣子は就職し、なじまないOL生活を2年続けている。一方種田は細々とバンドを続けながらフリーター生活を送っている。収入が安定しないため、芽衣子と同棲生活を送っている。しかし、仕事に嫌気がさした芽衣子はある日突然仕事を辞めてしまう。
 かつてのバンド仲間達は、家業を継いだものもあり、未だに学生を続けている者もいたりするが、月に二回の練習だけは卒業から2年たった今でも続けている。しかし、ライブで披露するようなことはしていない。
 彼らは皆、現在の自分たちの状況にも、そして将来にも漠然とした不安を抱えており、特に種田は音楽を続けたいが、それだけでは将来は見えない、このままフリーター生活でバンドを続けていて良いのかというジレンマに陥っている。
 結局種田は紆余曲折を経て、音楽を続けよう、芽衣子とともに生きていこうと決意するが、その矢先にバイクの事故でこの世を去ってしまう。
 残された芽衣子は、なぜか種田の形見のギターでバンドを始めようとする。種田の残した最後の曲、『ソラニン』の歌詞を自分の心の中に刻むように・・・。それは『恋人の別れの曲』ではなく、『過去の自分との別れの曲』であると思えてくる。芽衣子は過去の記憶を大事に、そして新しい自分のために『ソラニン』を歌う・・・」




簡潔に内容をまとめてきたな・・・。





「ストーリー自体は極めて短くまとめられていると思います」





例によってネタバレの可能性もありありなので、読むときには注意をして頂きたいということで・・・。

では、映画を観た感想などを書いてみたまえよ。





「この映画は、何はともあれ、宮粼あおいちゃんですな!」





ほう。





「さすがは素敵女子!いやあ、素敵ですぜ!」





むむ、そこをプッシュかね。





「そこだけをプッシュするのもアレなんですが、やはり素敵ですな。あと、映画向けな芝居が上手い!」





ほう。




「彼女は舞台よりも映画で良いところが出る女優さんだと思います。ちょっとした表情、仕草、そういった部分が画面から繊細に伝わります。これは遠景で観ることが多い舞台作品では上手く伝わらない要素かなと」





ふむ。





「特に表情ですね。不安、悲しみ、怒り、喜び・・・。そういった表情の顔芝居が凄く自然ですね・・・」





なるほど。





「他に、バンドのベーシスト役で、『サンボマスター』の近藤洋一氏が出演しているが、これがかなりな好演」




ほう。




「もちろん、ベーシストがベースを弾く役をやっているので、ベースは普通に上手い。というかさすがに上手すぎ」





そりゃそうだ。






「そして演技も、門外漢と思えないくらい自然な演技。十分評価できるレベルであると思います。というか、『俳優』って人でも、彼より下手くそでも映画とかドラマに出ている人は山盛りだと思うし、そういう下手くそ俳優さん達は、近藤氏の爪の垢でも煎じて飲みなさいと言いたい」





好評価だな。





「全然アリだと思いました!」






ほう。





「個人的に、『俺、個性派だろう?語らなくても存在感有るだろう?良い演技するだろう?』ってポーズの俳優には虫ずが走ります。結局は基礎が出来ていなくて、その『個性派風』の『演技もどき』しかできないクソにしか見えません。結局色々なことが出来ない」





・・・なるほど。





「あ、大変個人的な意見ではありますが、ドラム担当の『ビリー』役を桐谷健太氏が好演しておりますが、この役を最近役者での露出の多い『RIZE』の金子ノブアキ氏とかでやっても面白かったと思いますね。最近はそこそこ演技も出来るようになったし、何よりドラムが桐谷健太氏よりはるかに上手いし。本職ですから」






まあ、バンドものなら演奏できる人のほうがって考え方もあるな・・・。






「今回の映画の最大の山場は、もちろんながらラストに近いところにある、芽衣子(宮粼あおい)がギターとボーカルをとって演奏するシーン。演奏するのは映画のタイトルにもなっている『ソラニン』」





ソラニン』とはそもそもどういう意味があるのかね。





「ジャガイモの芽の部分にある毒素のことらしい。」





ほう。





「・・・この山場で実際にあおいちゃんがギターを弾きつつ歌うのだが、この歌が非常にポイントが高い!」





ほほう。





「声質も、歌い方も非常に良い。もちろん歌手ではないので決して上手ではないし、歌っているものも歌物では無くロックなので『聴かせる』感じではない」




ほう。





「なんだか女性には、『EARTH』のCMの歌い方が気にくわない方が多いようだが、もっとしっかり歌っておって、CMはわざとあんな風に歌っているんだなと言うのがよく分かります」





あのCMも男性は特に叩くことないんだけどなあ・・・。





「さて、ネタバレ的感想なんだけど、その山場の場面で、『これからライブをするぞ』というシーンがあるんだけど、そのシーンで芽衣子は無音のステージ上で緊張とともにギターのボリュームポッドを回す。このとき全くの無音なんだけど、個人的にはボリュームを上げるごとにシングルコイルのピックアップ特有のハム・ノイズが大きくなっていってくれると、緊張感もライブ気分も盛り上がったと思う(芽衣子のギターはムスタングだ)。弦を押さえてアースを取りながらボリュームを上げたからノイズはしなかったんだよ、なんて当たり前のリアルなことは置いておいて、それは『リアル』ではなくシーンとしての『リアリティ』かと。上手くいけばものすごく緊張感のあるシーンになったと思う。劇中では少しさらっと流れすぎていたかもね。」






ふむふむ。







「あと、最後に演奏する(というか曲の頭からまともに聞けるのは最後の曲しかない)『ソラニン』であるが、演奏中に過去の回想シーンがカットバック的に挿入されるが、個人的にはこのカットバックが大変にウザかった!」






ほう。






「この曲は1曲を通してライブシーンとして観たかった!このシーンをぶつ切りにするのはいかがかと思われたね。多分観客はみんなこのシーンを、芽衣子が演奏する『ソラニン』を心待ちにしていたと思うよ」






なるほど・・・。


どうかね。映画としてお薦めかね。






「まず、宮粼あおいちゃんを観に行くだけでも価値はあるかと。恋人の種田と愛をはぐくむシーンは、やたらとリアル(ああ、自分もこんな事しそうだなとか思う)で、こっ恥ずかしいが、そこがキュートでもある。そのあたりも含めて彼女の演技の上手さを実感できるかなと」





ほう。





「『今』の生活に漠然とした不安を抱えている20代の方、音楽や芝居を続けながらフリーターをしている方、共感が持てる内容ではないでしょうか『大人』ってなんだ、『社会』ってなんだ。若者がほんの少しだけ前を向こうとあがく様に、青春時代、何かに打ち込んでいた方はうなずけるものがあると思います」





ふむ。





「決して大作ではありませんが、2時間退屈せずに観ることが出来る良作ではないかと思います」






なるほど。

あおいファンは観ろということだな。また、何か映画などを観たら感想などを書くのだぞ。



こんな感じで今回は終わる。