Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『ZOKU』 森博嗣 を読んだ

 いらっしゃいませ。

 朝晩は少々冷えますね・・・。でも上着は邪魔なんですよねえ・・・。



 過日彼は森博嗣氏の小説、『ZOKU』を読み終えたらしい。『ZOKU』は氏の『Zシリーズ』の第1作目になるそうだ。







「先に2作目の『ZOKUDAM』を読了してしまったので順番が前後してしまったが、それぞれ単独の読み物として成立しているので、それほど問題はありませんでした・・」
http://d.hatena.ne.jp/aile_strike/20100416


ほう。
しかし、両作品で関連していることもあっただろう。





「登場人物はほぼ同じなんだけど、パラレル・ワールドというか、活躍する舞台がちょっと違う」




ふむ・・・。
では、どんな内容の本であったかね。




「まあ、近未来SFと言えないこともない・・・。

 犯罪未満の壮大な悪戯を目的とする非営利団体ZOKU”。真っ黒なボーイング767を秘密基地として、なぜだか多額の予算と大変な手間暇をかけて、被害届を出すほどでもないけどちょっと迷惑ないたずらを行う謎の組織。
 そして、彼らの悪行を阻止せんとする科学技術禁欲研究所、通称“TAI”。真っ白な機関車を基地として、同じく潤沢な予算を使い、あらゆる路線をダイヤの隙間を塗って走り回り、悪のいたずら結社のいたずらを阻止せんとして活動している。今日もどこかで目に見えない攻防を繰り広げている・・・」



ほう。
また頑張ってあらすじらしくまとめてきたな・・・。




「あらすじ的にはこんな内容です。基本的にはばかばかしいいたずらを、ばかばかしく阻止しようとする、ほにゃららした連作」




ふむ。
例によって例のごとく、ネタバレの可能性があるので、これから読もうとする方は注意して頂きたい。




「お約束な感じのおまぬけなキャラクター達が、無駄に骨を折って何の利益にもならないイタズラを仕掛け、相手方もああ、これはイタズラだねえと、分析するだけ分析して解決しているんだかしていないんだか分からないエンディングを向かえる。そんな感じの短編が5つ連作で書かれている」





ふむ。




「大変ばかばかしく、例えば『S&Mシリーズ』みたいなノリを考えて読み始めると、その意気込みは全くの肩すかしを食らう」




ほう。




「逆に言えば、『S&Mシリーズ』みたいなのを書いてる人が、こんなおまぬけな話しを書いているということ自体が凄いことであるかも知れない」




ふむ。





「良い意味でおバカなお話」





ほう。





「ただ、それほどの面白さでもない。めちゃくちゃお勧め出来ますというものでもない」





あらら。




「でもまあ、良い暇つぶしにはなると思います」





『ZOKUDAM』と読み比べてみて、どんな感じだね。





「キャラクターのたち方、ストーリー、設定、それぞれ『ZOKUDAM』のほうがはるかに面白いし、読み応えがあると思います」





ほう。




「ただ、『ZOKUDAM』の設定に対する微妙な伏線や、キャラクターの性格設定なんかを考えると、『ZOKU』を読んでいると『ZOKUDAM』の面白さも増すと思うので、単体だけで読まずにまず『ZOKU』から読んでいけばいいかなと」





なるほど。





「『ZOKU』と『ZOKUDAM』では、“正義側”と“悪側”の立場が逆転していて、そのあたりの事も『ZOKU』を読んでいれば、ある意味違和感感じることが無く読むことが出来るかも知れません」





ふむ。

で、今回の『ZOKU』は皆さんにお勧め出来る感じかね。





「決して大作ではないし、すごいストーリーものでもないので、そう言うことを期待して読み始めると期待はずれに感じるかも知れません。あくまでおまぬけな内容の短編がつらつらと5つある感じなので、意気込まずにさらっと読んで頂ければ。本当に暇つぶし的内容です。ただ、途中で投げ出してしまうようなことはないでしょう。その世界観に浸れればすっとエンディングまで行ってしまうと思います」





なるほど。

森作品は、次は『Vシリーズ』を読みたいと言っていたが。



「とりあえずはまた積ん読状態のものから先に片付けていきたいと思います・・・」




そのようにせよ。

節約もするのだぞ、小人よ!