Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

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読書感想文 『黄昏の百合の骨』 恩田陸 を読んだ

 いらっしゃいませ。

 食べ物が腐りやすい季節ですが・・・、よくよく考えてみたら食品を置いてませんね・・・。

おかしい・・・。



 過日彼は、恩田陸氏の小説、『黄昏の百合の骨』を読了したらしい。恩田作品が続いているようだな。



「前回読んだ『麦の海に沈む果実』の後日譚的なストーリーなので、続いて読んでみたかったんだ」



黒と茶の幻想』を読むんじゃなかったのかね。



「『黒と茶の幻想』は、『麦の海に沈む果実』に登場する人物と同じ名前を持っている人物が主人公らしい。なので、『麦の海に沈む果実』と主人公と世界が共通である『黄昏の百合の骨』を先に読んでみることにしたんだ」







今回もミステリーのようだな。どんな感じであったかね。





「『麦の海に沈む果実』のように学園少女漫画の世界ではなく、世界観は身近な感じがしたね。ミステリーというか、サスペンス・ホラーといった感じかな・・」




ではいつものように内容紹介でもしてみるかね。




「北の寄宿学校から出た理瀬は、イギリス留学を経た後に、子供の頃に暮らしたことがある長崎の祖母の家に一時的に暮らすことになる。祖母は既に亡くなっていたが、祖母が習慣的に活け続けていた百合の花が今も活け続けられているためか、その匂いとともに生前の祖母の気配が残る・・・。

 現在この家には、理瀬とは実際に血縁関係のない叔母姉妹が住んでいた。祖母の土地を相続しようとしているようだが、祖母の遺言である『理瀬を半年間住まわせる』というもののために家屋の解体も土地の売却も出来ずに奇妙な三人の生活を続けていた。

 謎に包まれた祖母が暮らしたこの屋敷は、近隣では『魔女の家』などと呼ばれていた。その因縁めいた由来を探る内、周囲で不可解な出来事が起こる。やがて、叔母の一人が事故死してしまうが・・・。果たしてこの家にはどのような因縁が隠されているのか・・・」





ほう。サスペンスな感じだな。あれだな、例によってネタバレ注意だな?





「なかなかに微妙な連作です。下手したら『三月は深き紅の淵を』、『麦の海に沈む果実』、そして今作『黄昏の百合の骨』、すべてのネタがばれないとは限りません・・。気をつけて進めますが」




未読の方でこれから読もうとしている方は気をつけていただきたいということで。





「前述したが、この作品は氏の『麦の海に沈む果実』と主人公を同じとする作品で、後日譚的な内容に書かれている」




ふむ。




「そのため、たびたび主人公・理瀬の回想の中で登場する人物名などが今作を読んでも分からなかったりするので、『麦の海に沈む果実』を予め読んでおくと色々と納得できることがあるので」




ほう。読めと。




「まあ、謎は謎のままで投げっぱなしでも、良い、かな?とりあえずこの本単体で読んでも、十分にサスペンスエンターテインメント作品として楽しむことが出来ます」




なるほど。




「良く恩田作品である『投げっぱなし』、『謎は謎のまま』、『開きっぱなしで閉じない』、でも、読んでいて面白く、なぜかそのままラストまで読んで、ちょっと『?』なままで終了、というパターンに慣れていると、この程度の不可解な部分は許容範囲という気になってしまいます。まあ、この作品に関しては予め『麦の海に沈む果実』を読んでおけば問題のない話なんですけどね」




ふむ。





「『麦の海に沈む果実』と共通する主人公、共通する世界なんだけど、『世界観』はかなり違いますね」




ほう。




「『麦の海に沈む果実』は現実の世界から隔離された寄宿学校で、完全な“少女漫画”の世界観であったのに対して、今作の『黄昏の百合の骨』はもっと現実世界に近い感じ。主人公の理瀬も、『閉じた』存在であったが、今作はもっと『開いた』感じ」




・・・ふむ。




「あと、作品のバックに流れている壮大な設定が、この後も理瀬が色々と活躍するかもという雰囲気を醸し出しているが、このあたりで謎を残したままにしておく方が良い感じ」




ほう。




「『麦の海に沈む果実』は絶対少女漫画以外にメディア展開してはいけない感じだったけど、今回の『黄昏の百合の骨』は、実写映画でも成立しそうな感じだ。なんとなく」




主人公が共通だと、成立しないんじゃないのか。




「『主人公が』というより、『世界観が』という感じだね。何だか抽象表現だけど」




それだけ『麦の海に沈む果実』が“少女漫画的世界”であったということなのかな。

どうかね、この『黄昏の百合の骨』はお薦めできる作品かね。





「面白かったですね。『麦の海に沈む果実』を既読の方で、こちらを読んでいない方には特にお薦めですね。サスペンスを探している方、恩田作品の世界が気になる方、この本単体でも楽しめますし、この微妙にリンクする世界でも、どれを先に読まないとということはありませんので、気軽に読み始めてはどうかと思います」






なるほど。

・・・しかし、相変わらず感想になってるんだかなってないんだか分からない感じだな。

こんな感じではあるが今回はこのまま終わる。また何かお薦めできる作品があれば紹介していくのだぞ!