Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『死神の精度』 伊坂幸太郎 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 乳酸菌飲料っぽいものって、そもそも乳酸菌が入っていないことが多いらしいですよ。ちゃんと乳酸菌とかが入っているものを飲みたいですよねえ。

うち?・・・いや、それ、水なので、乳酸菌とかは・・・。




 過日、彼は伊坂幸太郎氏の小説、『死神の精度』を読了したらしい。そう言えばこの作品は映画化されていたようだな。










「観てないですけどね。2008年に金城武氏主演で映画化されてるようだね・・・。噂によると、この作品の映像化を断り続けていた伊坂氏だが、主演を金城武氏でいくと云うことで了承をとったらしい。・・・個人的には主人公のイメージは金城氏とはちょっと違うような気がするんだけどね、読んだ感じだけど・・・」




ふむ・・・。では、誰が主役なら納得であるかね。





「・・・うーん、誰というか・・・。とにかく金城氏の、『少しほんわり優しい』という感じは違うような・・・。もちろん勝手に思い込んでいるだけのイメージなんだけどね・・・。クールな感じの人で・・、金城氏よりもう少し年上で・・・。」





どうやら具体的には出てきにくいようだな・・・。





「まあ、タイトルからも分かるとおり、主人公は『死神』なので、なかなか人間っぽくない人って難しいですね・・・」




では、例によって、内容を紹介していくかね。




「『千葉』を名乗る死神が、『定められた突発的な死』の判定を人間に下して良いものかどうか1週間見届け、『可』なら調査開始から8日目に事故や殺人などの死が訪れ、『見送り』ならばその死は回避される。しかしながら殆どの場合『可』の判定が下され、見送られることはない。この作品は死を判定に来たクールな死神と、観察される人間との『交流』を描いた連作短編である・・・」





なんだか要領を得ない内容紹介だな・・・。





「6つの短編なので、ストーリーを一つずつ紹介していくのはアレなので、とりあえず大まかな内容を」





・・・なるほど。




「基本的に死神が訪れて人間と接触して調査をして物語が進行していくのだが、死神が訪れる、それはすなわち登場人物の死がほぼ約束されているということなんだけど、なぜだかそこに悲惨な空気はなく、どの章も読後になぜだかさわやかな感じがする。不思議な感じ」




ほう。




「あと、ちょっとした風景の描写とかが美しい。美しい風景とかを『美しい』と表現するのではなく、日常の風景を『美しい表現』で切り取っていく。その表現が美しい」




ほほう。





「伊坂作品らしい表現。あと、文章が軽妙。これも伊坂作品には良く言われることだけど、決して『軽い』のでなく、テンポが良い。読み手を先へ先へと誘う」




なるほど。




「死神『千葉』の性格設定も物語のテンポを上げる要因になっているかな。クールで言葉少なめだが、極々普通の人間の慣習などに疎くとぼけた質問を登場人物に投げかける。その質問のやりとりがとてもテンポ良い」




ふむふむ。




「根底に流れているテーマは『人生』とか『死』とかなんだろうけど、想像以上に悲惨さが無い。登場人物達の死をなぜだか『そういうもんだ』という感じで受け止めることが出来る。これも主人公の『千葉』のキャラクターが立っていることによるものだろう」





なるほど・・。

どうかね、今回の『死神の精度』はお勧め出来る作品かね。





「面白かったですよ。お勧め出来る作品だと思います。長編小説は読むのが疲れるという方、連作短編なので飽きずに最後まで読むことが出来るのではないでしょうか。伊坂氏の作品が好きという方、もちろんお薦めです。久しぶりに本でも読んでみようかなという大学生さん、通勤電車で軽めの作品を読みたいなという方、サックリと読めるのではないでしょうか。ただ、伊坂作品なので、純然たる娯楽エンターテインメント作品、というわけでもないので、その辺りは予め踏まえていただいて」




なるほど。

どうかね、また伊坂作品は読むかね。





「ちょっと『チルドレン』が気になるので、いつか読んでみるかも知れません」





ふむ。

では、また何か気になる作品があったら記事にするように。サボらず書いていきたまえよ。きっとキミはサメみたいに泳ぎ続けないと沈んでいってしまうのだ。頑張って継続せよ。