Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

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雑観・『ことりてつじん』第3回公演 尼崎公演終了

 タイトルで雑感などと書いているが、『雑感』というより『色々としんどかった』というだけの文章になる可能性を秘めつつ文章を書く。


 今回劇団『とり鉄人』が公演を行ったのは、兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター 中ホールであった。このピッコロシアターの夏の恒例行事として、『ピッコロフェスティバル』というものがある。高校演劇に大ホールを貸し出したり、一般の小劇団に中ホールを無料で1日貸し出してくれる大変意義のあるイベントである。この一般部門としてエントリーしたのだ。


 一般部門で中ホールを借りると、まずホールの使用料が無料。そして、中ホールの備品としてある照明・音響機材、立て込み用のハコ馬や平台など、必要最低限なものは無料で使用させてくれる。もちろんそれにはホールといろいろな約束があるのだが、高額になりがちなホール使用料が無料なのである。素晴らしすぎる。ただし、基本的に貸してくれるのは朝の九時から夜の九時までなので、その日のうちに仕込みから、公演、バラシを行う、いわゆる『のりうち』が基本となる。つまり、短い時間で終わる出し物で、照明、音響機材も必要最小限、舞台セットも簡単に組んでバラスことができるもの、というものが基本となる。


 時間に制約があるため、短めの作品で、きっかけ稽古の時間も限られるのできっかけも少なめ、機材も少なめ、というものに限られてくるであろう。そのため、新しく立ち上げたばかりの小劇団が、技量を試すための旗揚げ公演などを行うのに適したイベントである。技術もお金もないけど公演をやってみたい、そんなシチュエーションにはぴったりではないだろうか。



 さて、劇団『とり鉄人』が行うプロデュース公演、『ことりてつじん』のコンセプトは“こじんまり”ということらしい。彼らのホームページを見れば。小さな空間で、少ない出演者、必要最低限のスタッフ。それで小品を公演する、というものであった。第1回公演は。


 第2回公演は、確かに小さな空間での公演であったが出演者が4人に増えた(第1回公演は2人)。


 そして今回の第3回公演である。時間に限りのある、のりうち公演で2時間近いランタイム。そしてキャパ200人近いホール。確かに出演者は2人に戻った。しかし歌い踊る舞台、膨大なセリフ、山のようなきっかけ、怒涛の転換、とてもこじんまりではない!

 

 このあたりの文句は昨日劇団の主宰に散々言ったのだが。



 とりあえず歌われると仕込む機材が必然的に増える。どうしてもホールでお借りできる機材だけでは間に合わないので、機材を大量に持ち込まざるを得ない。仕込む機材が増えれば当然それだけ仕込みにもチェックにも時間がかかる。しかしその日のうちに仕込んでその日のうちに公演ということが大前提である。バタバタである。




 仕込みの機材や手間は、正直劇団『とり鉄人』の本公演となんら遜色のない機材量ときっかけであった。ホールにお借りしたミキサーではチャンネルが足らず、アッテネーターの代わりに持ち込んだミニミキサーがサブとしてそのままシステムに組み込まれるありさまである。



 なんとか無事に公演を終了させ、バラシを行ったが、バラシてもバラシてもいつまでたっても終わらない。バラシながらまず思ったのは、『あれ?ピッコロフェスティバルって、こんな主旨だったっけ?』




 さらにバラシながら思ったのは、『この規模のどこが“こじんまり”なんだ?《ことりてつじん》のコンセプトは?これはもはや本公演じゃないのか?』




 ・・・さて、この『ことりてつじん 第3回公演 《ジロー君の冒険(改訂版)》』、まだ、公演全体が終わったわけではない。まだ大阪公演が残っているのである。今回は潤沢な機材をホール様に無料で貸していただくことができたが、次は公演場所に機材が非常に少ない。つまり、さらに持ち込む機材が増え、バタバタとなるわけである。“こじんまり”になるのは空間のみである。





 まあ、お客さんには楽しんでもらえたと思うから良しとするか・・・。