Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

CDレビュー 『first band on the moon』 THE CARDIGANS

 いらっしゃいませ。


 近隣はまだまだ雨が少ないですね・・・。淀川水系に豊かな恵みを求めます・・・。

あ、蛇口はこちらです。





 彼は魔窟と化したライブラリーからまたまたCDを引っ張り出してきてレビューするつもりらしい。まあ、それはすなわち書くことがつきかけているという状態をも意味するのだが。

今回は何をレビューするのかね。




「以前に予告していたカーディガンズのCDを魔窟の中で発見したのでそれについてレビューしようかなと」




ほう。



『first band on the moon』 THE CARDIGANS

1996 POCP-9050

produced and engineered by Tore Johansson



ジャケット・表




ジャケット・裏





「当時日本版を購入したので、輸入盤とはジャケットアートが違うかも知れない・・。というか、ハレてしまって何の写真だか分からないな・・・」





ふむ・・。
キミは結構国内版を購入することが多いな。






「ライナー・ノーツというんですか?解説とか読むと、知らなかったバンドの情報が書かれていたりして、なんだか勉強できた気分になるので」





ほう。





「あと、このアルバムに関しては、国内版のみに入っているボーナストラックに非常に興味があったんだ」





ほほう。





「あの、オジー・オズボーンの『アイアン・マン』をカーディガンズ的にアレンジして収録しているのだ」






オジー・オズボーンと言えば、HR/HMの帝王とか言われている人だな。キラキラ、キュートなカーディガンズとは縁もゆかりもないような感じがするが。





「彼らは1枚目のアルバム、『エマーデイル』で、ブラック・サバスの『サバス・ブラッディ・サバス』を既にカバーしているし、ギターのピーター・スベンソンはヘビーメタルデスメタルをよく聴くメタルマニアらしい。オジーやサバスを取り入れるのは、ある意味必然であるかも知れない」





なるほど。





「で、その『アイアン・マン』がポヤンポヤンしてて、かなりイカス!原曲のヘヴィーな感じのリフを取り入れつつも、それをもっとふわふわした感じに仕上げている」





ほう。




「イメージとしては、お酒を飲み慣れていない女性が、飲みやすいカクテルを飲み過ぎて、バーで酩酊しているような・・・」





うーん、分かるような分からんような表現だな。





「ソムリエの人がワインを表現するのに『濡れた子犬のような・・・』とか言うのより、よっぽどわかりやすい喩えだと思うぞ!」





何の開き直りだ・・・。





「アルバム全体としての感じは、前作の『LIFE』から比べると、若干ロックよりかも知れない」





ほう。





「でも、十分にポップなんだけどね」





当時、スエーディッシュ・ポップの筆頭だったからね・・・。





「あと、アルバムの後半はちょっと実験的要素が増える」





ほう。




「ライナー・ノーツの解説の言葉を借りると、『後期ビートルズ的』という感じであるな」





びろーんとか、ほやーんとか、めにょーんとかって感じかね。





「・・・うーん、違うとは言わないけど、そういった感じばかりではないよ・・」





ほう。




「あくまでポップなカーディガンズなので、やはり基本的にポップでキュートな感じ。ボーカルのニーナの声がアルバム全体のイメージに大きく貢献している。とてもキュートな声だ」





ふむ。





「このアルバムは世界的に大ヒットしたわけなんだけど、それはシングルカットした『LOVE FOOL』のヒットに寄るところは大きいと思う」






日本でもCMソングとしてさんざん流れていたな。






「当時、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ロミオ+ジュリエット』のサウンドトラックに収録されていて、元々世界的にヒットしていた同曲が、さらに知名度を増した。スエーディッシュ・ポップなんかあまり知らないよというユーザーにまでその名前が知られるようになったんだ」





なるほど。当時大人気であったディカプリオにさらに引っ張られたわけだな。






「ただ、『LOVE FOOL』は、アルバム内でも実験作的な要素がかなり薄い作品であるので、ほかの実験的要素が多い作品を聴いて一般のユーザーがついて行けたかどうかは少々疑問が残るところ」





まあ、基本的にキュートな作品なんで、すんなり入れる人は多かったかもね・・。






「あと、前作の『LIFE』を聴いていた人には、その実験的要素ですんなり受け入れにくかったかも知れないね」





『LIFE』は本当にキラキラだからな・・。





「全体を通して貫かれているアナログ感はこの作品でも健在。音の感触が柔らかい。アナログ機材のサチュエーションなんだろうかね、この感じは」





その柔らかい感じもポップさを後押ししているようだな。

で、どうかね。このアルバムはお勧めできるアルバムかね。





「お勧めですね。90年代後半のスエーディッシュ・ポップの中心、また、当時よく言われていた『シブヤ系』の音楽の流れをつかむにはかっこうのサンプルかと。まあ、そんな話は別としても、ポップでキュートでふわふわしていて、心が穏やかになるアルバムなので、午後のうたた寝のBGMにいかがでしょうかね」





なるほど。
当時のスエーディッシュ・ブームの意味がよく分かるアルバムかも知れないな。聴いたことのない方は一度いかがだろうか。



そんな感じで今回は終わる。

また何か良い物があれば紹介していくのだぞ。