いらっしゃいませ。
秋らしい気温になってきましたが、水不足の便りも届いております・・・。台風は来てしまうと面倒なんですが、四国の方はきっと心待ちにしておられるでしょう・・・。
あ、これは淀川水系からの恵みですよ。
彼はまた懲りずに魔窟と化したライブラリーをあさり、CDのレビューを試みようとしている。果たして今回こそは一般の方々にお勧めできる物なのであろうか。まあ、書く記事に困ったからライブラリーをあさってみました的なことは、 一切、 無いと、 思うが。 さあ、張り切って書きたまえ。
「残念ながら今回はかなり趣味に走ったセレクトとなっております・・・。ええ、記事に困ってるんですよ!!」
『DANCING UNDERCOVER』 by RATT
1986 20P2-2336
Produced by Beau Hill
・・・このセレクトはもはや趣味に走りすぎて全く救いようがないな!
「80年代に世界的なムーブメントを起こした“LAメタル・ブーム”。そのブームの火付け役になったバンドの一つ、『RATT』。特にアルバムの1枚目と2枚目はかなり注目のアルバムであった。・・・が、」
・・・が?
「今回取り上げるのは大ヒットした2枚目のアルバムに続き、なぜか大コケした3枚目のアルバム『DANCING UNDERCOVER』」
まさに、どマイナー。しかも80年代のメタルとは!!
・・・少なくとも一般の方々には全く持ってお勧めできないジャンルだな。
「いやあ、いいですよRATT。語っていいですか?」
長くなりそうなので却下。
「・・・えー、とにかく日本でも大人気でした。高校生の頃に来日ライブに行った記憶があります!」
ほう。
「やはり若きギターヒーローであったウォーレン・デ・マルティーニの人気は相当なものでした」
ふむ。
「このときの来日時、ウォーレンおそらく22歳。めちゃめちゃ早弾きというわけではないが、フラッシーなソロプレイと男前なルックスで、フォロワーは多かったと思う。当時このバンドが世界的に売れたので、彼らが使用していたジャクソンやシャーベルのギターは日本国内での認知度は大幅に上がったと思う」
ほう。
「因みに80年代のギターのトレンドは、小ぶりなストラト系ボディに、フロイドローズのトレモロ、ピックアップはリアポジションにハムバッカー、コントロール・ノブもボリュームのみ、もしくは1ボリューム・1トーンコントロールとシンプルな構成の物が好まれた。上記したジャクソン/シャーベルのほかに、クレイマーやパフォーマンスなんかのギターが流行りであった。カスタムメーカーのピックアップが流行しだしたのもこの頃で、セイモア・ダンカンやディマジオなんかがもてはやされた」
長くなりそうなのでぼちぼちやめたまえ。
「・・・ウォーレンのギターと言えば、シャーベルの通しネックのボディ(通称ソロイスト。ディンキーというスルーネックではない物という話もある)に、ダンカンJBピックアップ、さらにボディ表面にヘビの皮を張るという物であった」
長いな。
「ブルージーなフレーズと当時流行りのスケールを組み合わせたギターソロはなかなかに画期的であった」
ふむ。
「1枚目、2枚目は若いウォーレンはまだまだソングライティングに貢献していなかったが、3枚目にしてほぼメインのソングライティングを任されるようになった。この『DANCING UNDERCOVER』はバンドとしてのターニングポイントになった作品であった。ただ、それがセールス的に吉と出たか凶と出たかはまた別問題であるが・・」
残念な。
「それまでの、グラム・メタル路線から、もっとブルージーなフレーズを組み込んだ曲を多く増やしての構成であったが、どうもそれがラジオ向きではなかったらしく2枚目ほど全米で話題にならず」
ふむ。
「ただ、売れなかった訳ではなく、トータルセールス的に見ればダブルプラチナムであったそうだ」
ほう。
「なかなかにグラマラスな曲が山盛りで各楽曲の構成やクオリティーは極めて高い。その上ギターワークはキラッキラである。聞き所多し」
ふむふむ。
「しかしながら(前作に比べて)売れなかった。理由はおそらく単純で、ラジオ向けのキャッチーでポップな曲が少なすぎたことにあると思う。普通に聴く限りではシングルカットしてうけそうな曲が1曲目の『DANCE』と5曲目の『BODY TALK』位しかないように思う。ほかはどれも微妙に重く、玄人受けしそうではあるが一般受けしなさそうな楽曲が多い」
ありがちだな。
「今も昔もこういったジャンルを聴くのは若きロックキッズ達だ。パッと聴いてカッコイイ!と思えるキャッチーな曲の方が一般的にはうけるだろう。こんなことを書いてはいるが、実のところアルバム中で一番好きな曲はラジオ向けの『BODY TALK』であったりするのだが」
あらあら。
「RATT的には、ブルージーな要素はバンドの正常進化として喧伝していたが、キッズ達はそれを受け入れることは出来なかったのだろう。RATTはやはりキラキラのグラム・メタル、ザクザクのLAメタル独特のギター・リフ&パワーコード。そういった物を求めていたのかも知れない・・」
アルバムのクオリティーがそのままセールスに繋がらないなんて話はよく聞く話だからな・・・。
「端的に言って、地味、だったんだろうアルバムが・・」
ちょっと残念な話だな。
「でも、アルバム全体のクオリティーは高いので、1枚目と2枚目しか聴いたこと無いって人もぜひ聴いてみてほしい。個人的には『BODY TALK』のエンディングに流れるギターソロがイカス感じだ(昼間部のソロはロビン・クロスビーらしい)」
なるほど。
「最近、80年代のロックが音楽業界でやたらと見直されているらしく、楽器屋へ行くと当時流行っていたブランド/メーカーのギターが並んでいたりする。クレイマーやジャクソン、シャーベルは“ウエイン”というブランドで再び発売しているし、スタインバーガーのヘッドレスベースなんかも復刻している。ESPも80年代のグラフィックモデルを復刻したりしている。時代がどこかでロック全盛の時代を懐かしんでいるのかも知れない」
なるほどねえ。
「まあ、上記した楽器の80年代回帰は、その頃のロックキッズ達が、現在オッサンになって購買層になっているからという単純な理由かも知れないけどね」
一理あるね。夢はないけど。
「RATTのような華やかなロックがまた日の目を見ることになればいいなと思います」
・・・・あれ?締めた感じ?ほとんどアルバムのレビューをやってないのでは?
まあ、いいか。いいアルバムであるというのはちょっとは伝わったかも知れないし・・・。
今回はこの辺りで終わる。
因みに時代はこの後ガンズなんかのストリート系へ、さらにグランジへと流れていくのだ・・・。