Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

CDレビュー 『ANGRY FIST』 Hi-STANDARD

 いらっしゃいませ。


 また台風が近づいているようですね。気をつけないと。本州への影響は少なそうですが。




 彼はまたまた記事に困っているらしく、性懲りもなく魔窟のようなライブラリーをあさってみたらしい。もちろん建前としては、皆様にご紹介できるような、比較的一般の方々に受け入れられるCDをご紹介していこうという企画である。

 が、しかし、ライブラリーにも限界があるらしく、前回は全く持って一般の方々には縁遠いセレクトであった。企画の意図がもしや有名無実化してきているのではないかという危惧を抱きつつ今回のセレクトであるのだが・・・。






「一般の方に受け入れてもらえるのではないかと」




『ANGRY FIST』 by Hi-STANDARD




1997 TFCC-88096

produced by Ryan Greene & Hi-STANDARD






・・・メロ・コア?パンク?
これが一般受け?







「名盤です。ポップでとても良いアルバムです!」





どんどん誰に対して発信していきたいのかが分からなくなってきているな。






「まあ、ザクザクのコアっぽいサウンドではありますが、メロディーはキャッチィー。あらゆる年齢層、老若男女にお勧めできるかと」





キミは老若男女全てがモッシュ&ダイブの対象であると思っているのかね。






「オープニングの『START TODAY』という曲からガリガリと全開。アンプをオーバードライブさせるということがこんなにも気持ちの良い物かと思う瞬間」






・・・ふむ。





「ドカドカしたドラムのリズムにきわめてキャッチィーな歌メロがのり、かなりな疾走感で音楽が脳内を通過する」





ほう。





「コアではあるがそれは決して暴力的ではなく、むしろ優しさすら覚える。そのくらい歌メロはキャッチィー。もちろん“速い”し“ゴリゴリ”ではあるんだが。そのポップセンスには花丸をあげたい」






なるほど。






「7曲目にクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)の名曲、『HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN?』のカバーなども入っており、なかなかにバラエティーに富んだアルバムになっている」





ほう。






「パンクはゴリゴリドカドカしただけの物という認識しかない人は入門編にいかがだろうか」






なるほど。





「もちろん、本来パンクは優しくないし、うるさいし、ヘタクソだし、頭悪いし、叫んでるばっかりだしってのも正解ではある。むしろ本来のパンクはそういう物だしね」






うむ。






「まあ、表現方法は様々であってもいいってことで」






なるほど?






「このアルバムの最後に入っている『THE SOUND OF SECRET MINDS』という曲は録音時間が異常に長い。しかしながら曲の本編は3分ほどで終わってしまう」






ほう?






「古いアルバムだからネタバレしても良いよね。お察しの通り隠しトラックが入っている」





ほう。





「曲の本編終了後、長い長い無音の状態から、突然犬の鳴き声が」






それが隠しトラック?





「さらに長い無音状態が続いて、始まるのが『ピンク・パンサーのテーマ』」






ほう。





「曲の途中でリズムチェンジして、スカっぽいアレンジでのピンクパンサー。さらにリズムチェンジしてゴリゴリのコアアレンジのピンクパンサーとなる」





ほほう。





「本当に短いアレンジなんだけど、この隠しトラックはかなりな聞きものです」






なるほど。





「『こういう音楽がパンクをダメにするんだ!こんなもの深夜のアニメのテーマとかに成り下がったような音楽だ!』とかいうかたくなな人は別にして、これはこれで良い音楽だと思うし、一つのジャンルとしてでだけでなく、おおらかな気持ちで聴いてあげてもらいたいと思います」





ふむ。

で、どうだね、このアルバムはお勧めできるアルバムかね。






「お勧めですね。ガンガン前へ行きたい高校生も、縦ノリで飛びたい女子高生も、昔パンク聴いてましたというお父さんも、ポップな音楽が聴きたいというお母さんも、別にモッシュ&ダイブだけがパンクではありません。各人が楽しみたいように楽しめればそれでいいと思います。このアルバムは誰もが楽しめるアルバムだと思います」






なるほど。

趣味に走ったセレクトであったな。まあ、お勧めできる音楽ではあるようだが。


次回こそは企画に乗っ取ったセレクトをするのだぞ!