Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『レベル7』 宮部みゆき を読んだ

 いらっしゃいませ。

 秋深し、とはなかなか行かないですね。日中はまだまだ汗ばむくらいの陽気です。水もまだまだ冷たいのでいけそうです。





 過日彼は、宮部みゆき氏の小説『レベル7』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかを、ちょろりと書いてみたいらしい。
 宮部作品とは珍しい。









「というか、ちゃんと読むのは初めてですね。『楽園 上・下』持ってはいますが未だに読んでいないし」






読めば良いんじゃないか、『楽園』。





「・・・いやあ、まだ読んでないんですよ、『模倣犯』。これを読まないと『楽園』読む意味なさそうだし・・・。まだ長い作品を読む気になれないんだよね・・・」





ふむ・・・。

まあ、今回『レベル7』を読み終えたところで、次こそ『模倣犯』という感じかね。






「・・・うーん、次に宮部作品を読むとしても、またそんなに長くない作品でリハビリという感じかな・・・。多分読むとしたら『理由』とかかなあ。直木賞とってるらしいし・・・」






なんだかいつまでたっても『楽園』にたどり着きそうにないな・・・。





「まあ、いつかは読むということで・・・。とりあえず今回は『レベル7』の記事で」






・・うむ。

どんな感じの作品であったかね。






「初期作品ということで、あちこち荒い部分が見えてしまうんですが、まあ、総じて面白かったですよ」






では、内容とかを紹介していくかね。





「タイトルとか、物語の出だしとかはなんだかSFっぽいですが、物語は純然たるミステリーです。


 男は、自らの記憶を無くした状態で、見知らぬ部屋で目を覚ます。隣には見知らぬ女が眠っていた。彼女もまた自らの記憶を無くしており、目覚めた部屋には全く心当たりがないという。
 彼らの腕には、まるで入れ墨のように消えない文字が書き込まれており、“Level7”の文字が見て取れる。その文字に関しても二人全く記憶がない。見知らぬ部屋を家捜しすると、大量に紙幣と拳銃、それに血のついたタオルを発見し、彼らはさらに混乱する。


 同じ頃、電話カウンセラーの真行寺悦子は、彼女の仕事内容は、カウンセリングというより、相手の雑談や、愚痴を聞く、“疑似友人”的な仕事であった。悦子のところに時々カウンセリングの電話をかけてくる、みさおという少女が行方不明になっているということをみさおの母親から聞き、その行方を捜し始めた悦子。みさおの日記帳には、“レベル7に行くと戻ってこられない?”という謎の文章が残っていた。

 過去の記憶を探る男女と、それを手伝う自称ジャーナリスト三枝。そして行方不明の少女を捜す悦子。二つの線がやがて交錯する・・・。共通するキーワード、“レベル7”とは、果たして何か?」





ずいぶん長々と内容を書いたな。まあ、例によってネタバレ注意報ということで。

しかし、この書き出しの感じでは本当にSFの書き出しみたいだな。






「内容は現代を舞台にした純然たるミステリーです」





ふむ。





「大きく分けて、記憶を無くした男女が、限られた証拠品を手がかりに自らの過去を探していくパートと、未亡人である真行寺悦子が聞き込みを中心に行方不明の少女を捜すパートの二つに分けられる」






ふむふむ。






推理小説的には“記憶喪失パート”のほうがそれっぽいんだと思うけど、ごく普通の女性である悦子が周囲の協力を得て聞き込みを続けるパートのほうが、推理らしくはないけど人情味があって親しみが持てる」





ふむ。





「メインパートであるほうの記憶喪失のほうは、いかにもな伏線キャラの三枝に微妙に操られながら進行していくんだけど、その操られ方が少々強引。わざと強引に引っ張っていこうとしているのか、無理矢理つじつまを合わせようとしているのかが分からないのだが、伏線のひき方とかにさりげなさが足りないような気がする」






ほう。






「もちろん読んでいる方は伏線だと感じなければならないけど、目に見えてぶっとい線を引かれると、それだけにしか目が行かなくなってしまう」





ふむ。






「おそらく作者は、その伏線のぶっとさをわざと見せつけて物語を進行させているんだとは思うが、あまりに太すぎて、途中“すわ、どんでん返しか?”というようなシーンでも、“ああ、もう一回ひっくり返って普通の線に戻るんじゃねえか?”みたいなことを考えてしまう」







ふむふむ。






「まあ、そんな重箱の隅をつつくような読み方をしないのであれば、普通にエンタメなミステリとして楽しめるのではないかと思います」






なるほど。






「あと、前半が少々長く感じる」






ふむ。






「記憶を無くし、自らで過去を探そうにもあまりにも手がかりが少なく・・・、という出だしなので物語がじりじりとしか進まないのは十分理解できるしそのほうが雰囲気が出るんだろうけど、もう少し早足で展開しても罰は当たらなかったんじゃ無かろうかと思う」






ほう。






「物語が転がり始める前に、ちょっと飽きが来てしまった。まあ、中盤以降物語が動き出すのでそんなことはなかったけれど」





まあ、全編走りまくりってのもおかしな話だし、その辺りは目をつぶる感じで・・。






「なんだか連続ドラマを見ているような感じの作品でしたね。ドラマ化されたら面白いんじゃないでしょうか」






細かいところは色々あるけど、全体的には面白かったんだな。






「本当にドラマ的なおもしろさですね」





なるほど。

どうかね、今回読んだこの作品はお勧めできる作品かね。





「基本的にエンターテインメントな感じなので、前半のだるさを乗り切ればどなたにも楽しめる作品ではないかと思います。通勤・通学のお供に、主婦の方の暇つぶしに、それぞれ良い感じだと思います。ただ、基本エンタメなので、大きく心揺さぶられる作品ではないと思うので、読書感想文のために読もうとすると、最終的に感想に困ると思います」






今後、宮部作品はまた読むことになりそうかね。






「『楽園 上・下』を読むためにも『模倣犯』をがんばって読まねばと思います。その前にあまり長くなさそうな作品を選んで読むことになると思います・・・」





また何か面白そうなものを読んだら感想などを書くのだぞ。

今回はこの辺りで終わる。