Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『薄妃の恋 僕僕先生』 仁木英之 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 なんだか秋を感じないままに冬の足音が聞こえますね。今年はそういえばあまり虫の鳴き声を聞かなかったような・・・。


 あ、腹の虫とかっていうネタはやめてくださいね。





 過日彼は、仁木英之氏の連作短編小説、『薄妃の恋 僕僕先生』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかをちんまりと書いてみたいそうだ。


 今回は連作短編ということだが。






「この本は、仁木氏の小説、『僕僕先生』の続編に当たる。この『僕僕先生』という作品が、2006年の、第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品なのだそうだ」






ほう。
ということは今回読んだ本はファンタジーなのだな。






「この『僕僕先生』シリーズは、中華ファンタジーですね。中国の唐代を舞台に仙人や神様がおもしろおかしく活躍する話です」






ほほう。

では、内容とかに触れておくかね。







「主人公の王弁は、二十歳を過ぎても定職に就かず、かといって小金持ちの県令の父親の仕事の手伝いをするでもなく(そもそも科挙に受からねば役人にはなれない)、とりあえず生きていればいいかというのんべんだらりとした生活を送る、まさにニートな男。そんな息子を見かねた父親が、近くの黄山に仙人が住み着いたという話を聞き、息子・王弁に仙人に供物を持って行くように言いつける。父親は仙道のまねごとを趣味としていて、あわよくば息子が仙人に弟子入りして、ニートな生活をやめ、更に自分の仙道の趣味を満足できるような(言うなれば不老不死)術を学べば・・・と思い、息子を山に送り出す。

 王弁は半信半疑で山へ向かったが、果たして、仙人は本当にいた。しかし、仙人は、どう見ても十代の少女にしか見えない可愛らしい姿をしていたのだ・・・。

 この少女仙人、“僕僕”と様々な冒険をし、やがて離ればなれになる・・・。というのが前巻『僕僕先生』のお話。今回の『薄妃の恋』では、その五年後に再び僕僕が姿を現すところから始まる。

 僕僕と王弁は、中国大陸を気ままに南へ南へと特に当てのない旅をする。その道すがらに出会う事件や冒険を二人は解決していくのだが・・・」






ほとんど前作の紹介で、今作に関しての紹介があまりに少ないような気がするのだが。





「短編なので、内容を紹介しづらい・・・」





ふむ・・・。





「この作品は、中国の唐代が舞台になっており、当時の仙道や、道教の神様や、仏門の神様などが何となく身近に存在する世界で、題材は古典文学なのだけれど、内容はとてもファンタジック」





ほう。






「作品の特徴としては、北宋時代に成立した“大平広記”という伝奇や小説など膨大な読み物を編纂した書物の逸話を現代風にアレンジしたものが描かれているそうだ」







・・・ほう。






「美少女仙人と、ニートの青年の組み合わせというのが、いかにも現代的な感じがする。現代のファンタジーを構成するにはうってつけのキャラクター」







ふむ。





「かなりライトノベルテイストなのだが、キャラクターが魅力的なので、大人が読んでも結構楽しめる」





ほう。





「しかしながらこの仁木英之氏は、別段ラノベの作家というわけではなく、結構硬派な中国歴史小説なんかを書いているらしい。また、本人も中国に留学経験があるそうで、中国の文化に対してなかなか知識が深い」







ふむ。





「なので、この『僕僕先生』シリーズも、“にわか中国”テイストではなく、ライトな中にもしっかりした背景が見えて好感が持てる」







ふむふむ。






「まあ、感覚はかなりライトなので、伝奇ファンタジーと言っても夢枕獏氏のような感じではないので。当たり前だが」






ふむ。






「可愛らしいがちょっと小憎らしい、すごい能力を持った美少女というのは、大変わかりやすい設定。そういえば、桜庭一樹氏の『GOSICK』シリーズにも通ずるような気がする」






そう言えばそうかな。






「読む方にしてみれば、キャラクターの設定がわかりやすいので、読むと簡単にそのイメージがわいてくる。つまり物語に入り込みやすい」






なるほど。






「まあ、没入するほどの物語ではないけどね」






ふむ。

で、どうかね。この作品はお勧めかね。







「あくまで前作の続編であるため、この『薄妃の恋』単体ではそれほど楽しめないかと思います。ライトな読み物、ライトなファンタジーをお探しの方、前作の『僕僕先生』も併せて読んでみてはいかがでしょうか。通勤・通学の暇つぶしにはお手頃ではないかと思います」





なるほど。そこそこお勧めではあるわけだな。

最近軽めな作品を読むことが多いようだな。まあ、また何か面白い物を読んだら感想とか書きたまえよ。



今回はこの辺りで終わる。