Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン を読んだ

 いらっしゃいませ。



 最近、近所でヒヨドリメジロをよく見かけます・・・。


暖かくなったら山に帰っていくんでしょうね・・・。






 彼は過日、ジェイムズ・パトリック・ホーガンのSF小説、『星を継ぐもの』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかをピリッと書いてみたいそうだ。70年代後半のSF小説らしいな。






「確かに70年代の作品ですが、21世紀の今読んでも古くさい印象は受けません」







読むのに結構手こずっていたようだが。







「まあ、テンションの問題もありましたね・・・。どうも集中して読めなかった・・・。それとSF特有の科学用語とかが読む速度を落とした様な気がします。あ、あと翻訳物独特の言い回しにも手こずりました・・・」






ダメな話ばかりだな。





「まあ、それは読むスピードとか理解力とかの話であって、作品自体はなかなか面白かったですよ」





ふむ・・・。

では、例によって一応内容に触れてみるかね。もちろんネタバレ注意報発令ということで。





「人類が太陽系の星々に、有人探査を行える科学力に達した、ちょっと遠い未来(もしかしたら近い未来かも知れないけれど)。月面には有人の施設が築かれ、惑星探査の前線基地となっており、月面も色々なところが探索されていた。そんな時代。

 イギリス人の原子物理学者ヴィクター・ハントは、国際宇宙連合に多数の科学機械を納めている民間会社の研究員。物質を透過して観察出来る機器を開発した彼は、その機械がいよいよ大量生産に入ろうかという矢先、アメリカの国際宇宙連合(UNSA)の下部組織に、突然に呼び出される。月面で思わぬものを発見し、その研究に新しい機材を使いたいのでそのレクチャーに来て欲しいという話であった・・・。アメリカに到着したハントには、その極秘の発見の内容が伝えられた・・・。


 月面探査チームの一つが、月面にはあまり自然発生しないような坑道を発見する。内部を探索すると、赤い宇宙服を着た死体を発見した。早速月面のあらゆる基地に身元不明になっている者がいないかを確認したが、該当者はなかった。また、その死体の装備品も全く初めて観るようなものであった。死体の死亡時期を調べると、なんと5万年前の死体であるということが分かった。外観は全く地球人類と異なるものがない・・・。

 5万年前の人類は月へ行くほどの科学力を有していた?それとも異星人なのではないか?UNSAをあげての研究チームが発足した。


 一方、木星の衛星、ガニメデで、地球のものではない宇宙船の残骸が氷の下から発見された。中には地球人類とは全く異なった進化を遂げた異星人の死体があった。

 月面の死体との関連は?ハント達は死体の装備品を丹念に分析し、5万年前のこの死体の秘密に迫ろうとする・・・」






なんだか怒濤のあらすじであるな。





「なかなか夢のある設定ですね。太陽系の惑星達に有人探査を行える時代。人類は、火星にも金星にも既に有人探査を行っています。木星の分析も始めました。ちょっと使い古された感のある舞台設定ですが、月に行くことすら金銭的にままならないような現在から考えると、やはり夢のある話ですな」





うむ。





「70年代の空想なので、現在の感覚とはちょっと違うところもあったりして、そんなところを探してみるのも面白い」





ほう。





「例えば、コンピューターのディスプレイにはやはりブラウン管が使われているっぽいところとか。あと、コンピューターの画面の印刷に、ものすごく長いコマンドを入力しないと印刷出来なかったり。OSの概念が今と違うのかなあなんて考えてみたりした」






“印刷”のボタンをワンクリック、という感じではないわけだ。






「“科学力”と“便利さ”というのは一緒には想像出来ないのかもね」






なるほど・・。





「この月面で発見された死体は、全くの身元不明というわけではなく、宇宙服のバックパックに手帳などを持っており、その手帳に地球では見たこともない文字で何か書き留められていた。研究者達は、まず言語をなんとか翻訳して、この月人(ルナリアン)、通称“チャーリー”の故郷を探り出そうとする」






ほう。





「推理ものとまでは行かないけど、小さな発見の積み重ねで徐々に“チャーリー”の秘密に近づいていく。発見しては新説に覆されの、まるで賽の河原のような作業をこつこつと積み重ねていく・・・。やがて研究者達は“ルナリアン”、“チャーリー”がどこからやってきたのかを見つける・・・」






おお。







「研究者達のちまちました発見があるたびに、その説明を長々と読まされることになるのだが、結構な専門用語ばかり。苦痛というわけではなかったが、内容を理解しなくてはと思うと読む速度はがっくりと落ちる」






あら。






「それでも、その内容がちゃんと頷ける内容なので、なかなかに面白い」






なるほど。






「物語は、人類はやがて大宇宙を探索に出ることになるだろうという、ちょっと明るい未来を暗示して終わる。それはいつのことになるかは分からないけれど、地球の全てすらままならないのに、果たして恒星間航行なんて、どれほどの未来のことなんだろうな・・・」






そうだなあ・・・。






「ちょっと遠い未来の話ではあるけれど、なぜだか結構身近に感じるリアリティをもった作品でありました」






なるほど。

で、どうかね、この作品はお勧め出来る作品かね。






「SFの翻訳物が好きで、この作品をまだ読んで無いやという方はぜひどうぞ。子供の頃にSFを読んでいたけど、最近は読んで無いなという方にも良いかも知れません。最近翻訳物を読んでいないなというサラリーマンの方、通勤に最適です。たまには古典を読んでみようかなという学生さん、通学のお供にも良いですよ」






なるほどねえ・・。


たまには翻訳物も良いかもという感じかな。


また何か面白いものを読んだら記事にするのだぞ。



今回はこの辺りで終わる。