Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『ハードボイルド・エッグ』 萩原浩 を読んだ

 いらっしゃいませ。



 ・・・単純に集客を増やす方法って・・・・。



何か無いですかねえ・・・。






 過日彼は、萩原浩氏の小説、『ハードボイルド・エッグ』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかを、にょろりと書いてみたいそうだ。


萩原氏の作品は初めてかね。









「以前に『押入れのちよ』という短編集を読んだことがあるね。表題作の“押入れのちよ”という話がなかなか良かった。とっても優しい感じのお話であった」






今回は長編であるな。





「この記事に書き込みをしてくれた“鈴虫”さんが薦めてくれた本であった。“ハードボイルド”なタイトルから推測出来るとうり、探偵小説だ」






ほう。






「この前に読んでいた作品が、J.P.ホーガンの翻訳物のSFであったので、なかなかに読み進みにくかったが、この作品はとても読みやすい作品。ザクザクと読み進めることが出来ましたね」






ほほう。

では、恒例であるが、内容に触れていくかね。もちろんネタバレ注意報発令ということで。







「主人公、“最上俊平”(作中ほとんど名前は出てこないが)は、学生の頃にチャンドラーの小説に出会い、人生の指針を主人公のフィリップ・マーロウのように生きようと決めた男だ。探偵マーロウの生き方はまさにハードボイルド。他人よりも損をする生き方を選び、あまつさえ依頼の解決のためなら美女の誘いさえも袖にしてしまう・・・。そんな孤独を愛する男になろうと考えた最上は、英会話教材のセールスマンを辞め、探偵学校に通い、ハードボイルド探偵になるべく個人事務所を開業した。
 しかしながら依頼の7割が逃げたペットの捜索で、後の三割は浮気調査というハードボイルドとは全く縁のない探偵生活を、もう三年も続けていた。なぜかペット探偵としてそこそこ軌道に乗ってしまった最上は、もっと念願のハードボイルド探偵に近づこうと、美人秘書を雇おうと決心する。が、秘書応募に現れたのは、なぜか80歳を超えた老婆、片桐綾であった・・・。


 ある依頼でシベリアンハスキーの“ちび”を押しつけられてしまった最上は、動物などを預かってくれる“柴原アニマルホーム”に“ちび”を預けることにした。

 しかし、預けられた“ちび”はアニマルホームを脱走してしまう。脱走した“ちび”を探していると、偶然にも林の中で死体を発見する。死体は柴原アニマルホームの主人の義父、清一。清一の死因は犬に喉を食いちぎられてであった。

 最上と老婆・綾は、“ちび”の無実を信じ、本当の犯人(犬?)を探し出そうとするが・・・・」






探偵ものであるわけだな。







「推理ものというわけではなく、主人公の“探偵”の語りを楽しむ探偵小説だ」






ほう。






「とにかく分かりやすい。鉄板な伏線をこれでもかと張っていき、期待にそぐわない感じで回収されていく。ここまで分かりやすいと、逆にすっきりとして潔い。定石過ぎると面白くないなんて云うが、ここまで定石だと安心感があるね」







ほほう。






「主人公のへっぽこぶりとか、もう一人の“主人公”、老婆・綾の魅力的なぼけっぷりとか、キャラクターの作り方、行動もしっかりとお約束を踏襲する。そのキャラの扱いやストーリーの展開は、本当にお約束。分かりやすいエンタメ小説はこうなんだよと言っている感じがする」






なるほど。






「特に綾ばあさんに関してはあらゆるところがお約束である。お約束過ぎるのでこれ以上書くとうま味が全く無くなってしまうので、これ以上は書けない」







あらあら。






「基本コメディー路線なんで、ガチガチの探偵ものであるとか推理ものであるとかを求めている人には向かないけれど、さらっと読める作品を探している人には向いていると思うね」







なるほど。

おすすめということかね?







「午後の昼下がりの暇つぶしを探している奥様方、軽く読めます。おすすめです。通勤通学にライトな読み物を探している方、ぴったりだと思います。ラノベ卒業の中学生とかにもお勧めです」






なるほどねえ・・・。





「決してガッツリ脳内に残る作品ではないので、その辺りは期待しない方が良い。基本軽いコメディータッチのエンタメ作品なんで。ガッツリいきたい人は『白夜行』とかを読む方が良いです」





なるほど。

まあ、色々なものがあるということで。


今回はこの辺りで終わる。