Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

記憶/思い3 『要るもの・要らないもの』

 神戸で被災した当時、何とか避難所へ行かず、半壊した自宅でなんとか夜露をしのぐことが出来た。ありがたいことであった。


 避難所は、食料や水などが優先的に届くが、プライバシーなどの観点から大変神経をすり減らした生活を送っているようであった。

 なので、避難所生活を送っていた方とは苦労した部分や必要であったもの不要であったものなどが微妙に違っているかも知れないが、当時『ああ、これがあって助かった』とか、『これが無くて苦労した』とかというものを、記憶を便りに書いていきたいと思う。あと、これは『無くても良い』というものも書いていきたいと思う。


 もし、被災地に知人が居るという人で、何か物資を持っていこうということを考えている方があれば参考にして頂ければ。


 ただ、今は落ち着いて時期を待って欲しい。道路などが復旧して、救助が一段落してからでないと、単なる邪魔者になってしまう。今すぐ何かアクションを起こしたいという人は、信頼出来る機関に募金をするするくらいの方が良い。『お金』は水にも食料にも毛布にも土木工事にも、柔軟に形を変えて被災地の役に立つはずだ。効果が出るのは少々遅いと思うが。



 人間、もちろん衣食住がしっかりしていなければならない。なので、『水』は必要。もちろん飲み水もそうだが、トイレに使う水も必要になってくる。避難所では流す水が無くて、トイレに便がたまりっぱなしであったという話を良く聞く。
 飲料水自体は給水車で供給してくれる。しかし、着の身着のままで避難をしている人にはそれを汲み置くすべがない。なので、『水』と一緒にポリタンクや大きなポリバケツなどがあると便利だ。さらに言うと、それを運ぶ台車などがあると、避難している場所から給水車が遠いなんて時も楽に運べる。ただ、高層マンションなんかに避難している人はどうしてもそれを運び上げる大きな手間が発生してしまうが。


 食料ももちろん必要であるが、やはり日持ちしないものは困ってしまう。賞味期限の切れた食料なんて意味がないんだ。かといって、カンパンとかは食べていて精神的に厳しいものがある。やはり『缶詰』や『パックのご飯』、『そうめん』や『パスタ』などの乾麺なんかは備蓄がきいて良いと思う。もちろん『カップラーメン』などの即席ものは重宝される。あと、水が貴重なので、食器を洗う事がままならなくなるので、お皿にラップを敷いておかずを入れたりするので、『サランラップ』などもあると便利。


 電気が通っていないため、夜の暗さは半端ではない。なので『懐中電灯』の類は幾つかあると便利。ただし『電池』式のものは電池がすぐに尽きてしまうので要注意。手回し充電出来る物があるとさらに便利だ。因みに、被災当時は、『ロウソク』が大活躍した。若干防火的な観点からは注意が必要だが。


 ガス・電気が来ていないので、煮炊きが出来ない。なの『カセットコンロ』と予備の『カセットボンベ』があると便利。しかし、カセットコンロはすぐに中身が尽きてしまうで効率はあまり良くない。しかも、被災地では空になったカセットボンベの扱いも微妙に危険なので注意が必要だ。因みに被災時は『七輪』と『練炭』が活躍した。『キャンプセット』などを持っている方は大いに利用出来ると思う。バーベキュー用の『炭』や『コンロ』も利用出来ると思う。ついでにキャンプセットで言うと、『テント』なんかも便利。



 よく、古着を送ってくる人が居るが、もらう方としてはあまり良い気分ではない。贅沢すぎると言われても仕方がないが、送る方、よく考えて欲しい。古着の、特に下着なんか、やはり着るのに抵抗があると思いませんか?
 送るなら、『新品の下着』を沢山。ついでに言うならサイズ別に梱包してあげるとかしておくとさらにありがたい。




 『流さないシャンプー』は、あってもなくても良い。無いならないで耐えるし、あれば使うし。


 『携帯の充電池』。電気が来ていないので、もちろん“充電器”を持っていっても無用の長物。


 『毛布』、『タオル』は必ず必要。水が行き渡りだしたら洗濯もしたくなるので、水が通ったら『洗剤』。


 『ウェットティッシュ』も、あると色々と便利。まあ、無くても良いけれど。



 あと、必需品は『ブルーシート』。いくらあっても足りない位だと思う。屋根が落ちた家では雨を防ぎ、公園で寝泊まりしている人にはテントの代わりに。下にも敷くし、屋根にも壁にもなる。トイレの代わりの囲いにもなる。避難所に入っている人でも、プライベートの確保に囲いとして必要になるものだ。

 ブルーシートは、便乗して被災地で値段をつり上げて売るヤツが後を絶たない。知人の方が被災地にいるなら、ぜひ差し入れてあげて欲しい。もちろんそれを立てかけたりする支柱とかも一緒に用意してあげて欲しい。



 要らないもの。

 千羽鶴。何の役にも立たない。火種にしかならないのに、燃やすわけにもいかず、腹の足しにもならないし、寒さを防ぐわけでもない。そんなものを作る暇があったら、ブルーシート一枚でも余分に手に入れる手間をかけるべき。


 本。某P社が災害地に本を送りつけてひんしゅくを買った事例は記憶に新しいところ。先ずは衣食住。本はその後でも良い。それが分からないヤツは、実際に被災して、本や千羽鶴を差し入れともらってみろと言いたい。


 善意の押し売り。良いことをしてやったという自己満足につきあわされるのはあまりに辛い。被災者に本当に何が必要かを考えて行動を。自己満で飛び込んでくるボランティアは、単なる邪魔者。自己満で使えない物資を送りつけてくるヤツは物流にも影響するし、被災地のゴミを増やすだけ。某SNSで手を繋ごうとか呼びかけてるけれど、正直何か勘違いしているとしか言いようがない。本当に何が出来るかを考えて。募金とかのほうが具体的で効果的かも知れない。はっきり言って、被災者は、頭の中がお花畑の『?』野郎共の善意の妄想につきあっていられるほど、暇も余裕もないんだ。



 皆さんが本当に自分が被災したときに、本当に何が欲しいか、何をしてもらいたいかを考えてみて欲しいんだ。