読書感想文 『夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show』(Vシリーズ) 森博嗣 を読んだ
いらっしゃいませ。
暑さ寒さも彼岸まで。本当なんですかね?
彼は過日、森博嗣氏の小説、Vシリーズ第4集『夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかをちまちまと書いていきたいそうだ。
瀬在丸紅子とその仲間シリーズも、4集めに入ったわけだな。
「とりあえず四冊目ですが、シリーズの終わりはあと6冊。先は長いです」
ふむ。
今作を読んでみて、ざっくりと、どうかね。
「どうも以前読み終えた、S&Mシリーズと比較してしまうんですがね・・・。S&Mシリーズに比べると、やはりインパクトは弱めかもしれないですね・・・」
・・・ふむ。
「まあ、キャラクターたちも全く別物であるので、同じノリを求める必要はないんですがね」
それはそうだ。
では細かい感想の前に、内容にちょっと触れていくかね。恒例であるが。もちろんネタばれ注意報は発令されるってことで。
「瀬在丸紅子(せざいまるべにこ)、小鳥遊練無(たかなしねりな)、香具山紫子(かぐやまむらさきこ)、そして保呂草潤平(ほろくさじゅんぺい)の仲良し4人は、地元の愛知県を離れて東京に出てきていた。紫子が応募したテレビのクイズ番組の女子大生大会の収録のためだ。紫子は正真正銘の女子大生であるが、紅子はすでに子供がいる年齢だし、練無にいたっては大学生ではあるが女装趣味のある男性である。紫子は適当な書類を提出し、書類選考を通ってしまったのだ。女子大生3人組と偽って、テレビに出ようとしていたのだ。この三人組に保呂草潤平も同行していた。収録するテレビ局に中学時代の同級生が務めているということで、ついでに会いに行こうとしていたのだ。
リハーサル前に保呂草は同級生に面会していたが、上司であるプロデューサーが、どこかの女性に脅迫されているらしいから、身辺を調査してくれないかと依頼される。探偵である保呂草であるが、地元の愛知県ではないので東京の知人の探偵に頼んでみることにした。東京の探偵稲沢真澄は、仕事を引き受け、直接プロデューサーに連絡を入れてアポイントをとった。稲沢はアポイントを取った時刻にテレビ局で待っていたが、プロデューサーは現れない。仕方なく保呂草と合流した。
リハーサル直前、番組アシスタントでアイドルの立花亜裕美が、空き部屋から泣きながら小さな箱を手に出てくるところを保呂草たちは目撃する。そしてリハーサルがはじまった。
リハーサル中に空き部屋から“パンッ”と花火のような音がひとつ聞こえる。近くにいた保呂草と稲沢は、空き部屋の中で件のプロデューサーが二発の銃弾で死んでしまっているのを発見する。
そして事件発生後に、重要参考人である立花亜裕美と小鳥遊練無が姿を消してしまう。亜裕美たちの行方は?犯人は?偶然にも事件に巻き込まれてしまった紅子たちが犯人を推理する」
・・・ちょっと内容に触れすぎじゃないか?
「まあ、別に犯人書いてるわけじゃないし」
むう・・。
「それに、今回はある意味推理的なものは多くはない。犯人の存在自体それほどどんでん返し的なものがあるわけではないし」
・・・だから、そういうことを書かないほうがいいんじゃないか?
「それに犯人がどうとかいうより、今回は新登場にキャラの存在のほうが大きい。さすがにそれは書けないけれど」
ふむ。
「個人的にはもう少し推理っぽくってもいいと思うんだけどね。やはりどうも読み手としてS&Mシリーズを引きずってしまっているのかもしれないけど」
・・・ふむ。
「もちろん紅子の常人とは違った思考なんかは面白いとは思うけどね。ただ、やはり、S&Mの登場人物のような、天才的な思考に比べるとインパクトは薄いかな」
ふうむ。
「それでもキャラクター達はそこそこ魅力的なんだけどね。でも個人的に大絶賛する感じのキャラはいないね。あと、小鳥遊練無の女装趣味ってのも、どうもしっくりこないね」
今回はあまり褒めていないな。
面白くなかったのかね。
「ああ、十分おもしろかったですよ。サクサク読めたし。ちょっと重箱の隅をつつきたくなってしまっただけで」
ふむ・・。
「第一集から読んでいる方は読んで損はないと思いますよ。それぞれのキャラクターが好きなら全然言うことなしです」
・・・ふうむ。
「あ、あとタイトルの『夢・出逢い・魔性』は、もちろん往年のテレビ番組、『夢で逢いましょう』から来ていることは言うまでもないね。さらに英語のタイトルにまで結びつけて、小説の内容とリンクさせてるのはなかなかにイカす手法。このあたり、さすがは森氏」
なるほど。
・・・感想的なものが少ないようだが、これでいいのかね。
「ちょっと、感想文が、即ネタばれになってしまいそうな気がして、これくらいにしておこうかと思いました」
どうかね、この作品はお勧めかね。
「このシリーズをこれまで読んでいる人には迷わずお勧めです。新キャラクターはおそらく今後時々登場するんではないでしょうかね。それくらい魅力的な感じです。通勤・通学のお供に、第一巻からお読みください」
ふむ。
今回は尻切れな感じを残しつつ、このあたりで終わる。