Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

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CDレビュー 『Crystal Planet』 Joe Satriani

 いらっしゃいませ。


 日が落ちると意外に肌寒いですね。




 彼はまた自らの魔窟と化したCDライブラリーをごそごそと漁っているらしい。皆様にお勧め出来るCDを紹介するという大義名分の元、記事のネタ探しを何とかしようという、なんだか悲しい行為であるのだ。

はたして一般の方々にお勧めできるCDを引っ張り出すことに成功したのであろうか。






「今回も名盤をレビューしたいと思います」



『Crystal Planet』

by Joe Satriani

1998 SRCS 8588


Prodeced,Engineered and Mixed by Mike Fraser




・・・恐らく、これはまた一般の方には縁もゆかりもないセレクトではないかと思われるのだが。





「一般の方はほとんど知らないであろう、『ギター・インストルメンタル』というジャンルですが、このアルバムを聴けば一気にその敷居が低くなること間違いなし、と、思われる・・・」






なんだそりゃ。






「まず、このジョー・サトリアーニという人、さすがにギター・インストのアルバムを出すだけあって、大変にギターの上手い人であります。しかも単に上手いだけでなく、歌心もちゃんと持ち合わせている人でありまして、テクニックだけで面白みの無い曲をリリースされるような方々とは一線を画す存在であると思います」







のっけから大きく出たな。







「いやあ、世の中には多いんですよ、ピロピロテレテレとギターは速いんだけど、“だからどう?”ってかんじの“丸虫商店”さんみたいな人が」






丸?誰なんだ。






「・・・ちょっと話はそれちゃうんだけど、その“丸虫商店”さんのアルバムも何枚か聴いたことがあるんですけどね。一枚、“あ、このアルバム良いじゃん”てのがあったんだけどね、ボーカル入りのやつ。歌メロはその時に参加していた“虹”的大御所ボーカリストがほとんど書いているって事が分かって・・・。そりゃまあ、そんなもんなんだろうけど・・・。とにかく、このジョー・サトリアーニに関しては、テクニックも音楽性もいけてる感じな人なわけだ」






へえ。






「この『Crystal Planet』は、まず一曲目の“Up in the sky”のイントロが始まった時点でそのテクニカルなリフにやられてしまう」






ほう。






「ギタリストではないのでどういう風に弾いているのか分からないけど、倍音たっぷりのキラキラした音。面白いピッキングしてるんだなあと思う」






ほほう。






「このアルバムを出す何枚か前(1枚前かな?)には、彼自身のルーツであるブルースとかにみっちりと浸ったアルバムを何枚か出したんだけどね。この『Crystal Planet』はかなりハードロック寄りのアルバムになっている」








ふむ。







「彼の出世作である、『Surfing with the Alien』('87)(多分セカンドアルバム?)も持っているけど、なんだかバックにものすごく打ち込みを多用していて」






ほう。






「聴いている限りではなんだか“打ち込みで、バックの人件費とスタジオ代とエンジニア代を浮かせました”的に感じてしまうアレンジ。まあ、格好いいアルバムではあるんだけどね。しかし、今回取り上げている『Crystal Planet』では、テクニックのあるバックにガンガンに演奏させてギターで縦横無尽に弾きまくっている」







ふむふむ。






リッチー・ブラックモアが脱退したあとのディープ・パープルに、ツアーメンバーとして参加していたのは有名な話し。因みにディープ・パープルはその後正式メンバーとしてスティ−ブ・モーズをギタリストに迎えている。パープルのオリジナルメンバーはこの時点ではイアン・ペイスだけになっているそうな。本当に余談であるが。“リッチーがいないパープルなんて”という人や、“ジョーもスティーブもリッチーよりはるかにテクニシャンだから良いんじゃね?”とか言う人もいて。まあ、ここではどうでもいい話」







うむ。






「このアルバムで一番好きなのは三曲目に入っている表題作の『Crystal Planet』。ちょっとオリエンティックなギターリフから始まり、ものすごくキャッチーなメロディーのハードロックが展開される」






ほう。





「間奏部分のソロパートでは、歌心満載のテクニカルな演奏。速弾きとしては現在においては速いほうでもないし、タッピングとかが飛び出してくるわけでもないんだけど、チョーキング with ヴィブラートを普通に決めるだけでも格好いい。また、チョ−キング時のピッチもものすごく正確。フロイド系のトレモロをフローティング状態で使用していると思うんだけど、この安定感はすばらしい」






ふーん。






「音色はそれほどこった音作りって分けではないんだけど、逆にそれが好感が持てますね。こうした感じの楽曲にはこの音色だ、みたいな定番の感じで大変聞きやすい。聞きやすい音色なので、オーバーダブしているハーモニーとかも大変気持ちが良い。曲自体もノリノリです」






ほう。





「そういえば、無名時代のジョーさんは、ギターの先生をしており、あのスティーヴ・ヴァイにギターを教えたっていう話しは結構有名。他にも、メタリカのカーク・ハメットや、テスタメントのアレックス・スコルニックにも教えていたらしい。すげーすげー」






へえー。






「すんごいタッピングとか、テロテロなスィープとか、蟻の大群のような細かい音符の連続とかそういうのは少ないけれど、確実にこの人の演奏・楽曲は格好いいです」







なるほどねえ・・・。

どうかね、このCDはおすすめできる作品かね。






「ロックに於けるギターインスト物の教科書のようなアルバムだと思います。夜に高速を車で走るときなんかのBGMにはうってつけだと思いますよ!」





なるほど。

まあ、こういったジャンルのCDの紹介もたまには良いかもしれないな。

ただ、一般の方々にお勧めできるという当初の目的は見失わないように!


今回はこの辺りで終わる。