Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

壁紙を無意味にさらす

 デスクトップやノートなどで、使用しているパソコンは三台。どれもとても最新スペックとはいいがたいものばかり。まあ、それども仕事場と自宅でぼちぼちと使っている。


 三台も使っていたら、それぞれ壁紙とか変えそうなものだけど、三台とも同じ壁紙。こんなの。



 モデルは昔自宅で飼っていたねこ。名前は見たままの“とらねこ”であった。


 当時ねこばかり六匹も飼っていて、狭いベランダに発泡スチロールのトロ箱を置いて飼っていた。ねこは群れで暮らす動物ではないので、たくさん飼ってもそれぞれ好き勝手にしているもんだとばかり思っていたが、意外にその中に順位があった。

 最初、一番順位の高いねこは白猫の“しろ”であった。これも見たままのネーミングであった。

 たとえば、ねこたちの様子を見に行っても、“遊びなさい”とか“かまいなさい”とか、“膝の上に乗せなさい”とかって甘えてくるのはこの白猫だけであった。白猫のしろが遊んで満足したら次の順位のねこが遊びに来る。なんだかねこたちの間で、そういった暗黙のルールのようなものがあったようだ。当時はこの壁紙のとらねこさんは、順位は二位であった。



 ねこたちは兄弟で、同い年であったが、しろさんはなぜか先にお亡くなりになった。お別れの時のダメージは大きい・・・。


 そして、とらねこは予想通り順位一位になった。

 ねこを見に行くと、遊んでくれと最初にせがむのはとらねこになった。かわいがってもらえるのは、まずは自分なのにゃ。



 初めて親父がコンパクトデジカメを購入したので、何か撮っておこうと思いまだ5匹いるねこたちを撮ろうと思った。カメラを抱えてねこたちを訪問したが、寄ってくるのはとらねこさんだけであった。他のねこたちはとらねこさんに遠慮して、少し遠巻きにうろうろとしているだけであった。実は他のねこたちもかまって貰いたくてうずうずしているのだ。しかし、順位が高いとらねこさんに遠慮して、寄ってくることはない。仕方がないのでとらねこさんだけ撮影することにした。




 とらねこは遊んで貰えると思って足の辺りに頭突きをかましてくるのだが、こっちとしてはほしいのは彼女(雌だ)の表情。しかしなかなか落ち着いて止まってくれない。


 思い切って、デジカメをとらねこさんの顔に近づけてみた。ねこというものは、顔の前に何かが突き出されると、思わず匂いをかいでしまうものなので。指とかを出してみると必ず匂いをかがずにはいられない生き物なのだ。

 彼女がレンズ辺りの匂いをかいで、おそらく“なんだ食べ物じゃなさそうだ”と顔を引いた直後にピントがあって撮れたのがこの写真。残念ながらこのあと彼女はアップを一枚も撮影させてはくれなかった。そんなやりとりを、他のねこたちは面白くもなさそうに見ていた。



 このねこたちも今はもういない。


 ただ、仲良しであったこのとらねこの写真は、今も壁紙になって毎日眺めている。


 どうでもいい話。