Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

新開地『トシヤ』にそば焼きを食べに行く

 いらっしゃいませ。


 ・・・グラスを割ってしまうんですけどね。なぜ高いグラスから割れていくんでしょうかねえ・・・。



 彼は過日、神戸市兵庫区の新開地界隈を歩いていたらしい。何か用があったのかね。





「たいした用事ではありませんでした。用事はさておき、ついでに近辺でランチでもと思ったんですけどね。どうもこの辺りに行くと、毎回同じような店に行きがちで」





それはそれで良いんじゃないかね。






「最近は明るい街へと徐々に開発されつつあるけれど、この辺りは昔はかなりデンジャラスなアンダーグラウンドゾーンであった。子供の頃は正直怖くて近づけなかった街だった」






ほう。






「さらに遡ると、神戸の一大歓楽街であった。東京で言えば昔の浅草のディープゾーンといった感じかな?まあ、現在でも新開地駅の北側は、一大ソープランド街であるというのは変わっていない。以前は有名な赤線地帯であったし、つい最近まで昔ながらのストリップ小屋もあった」







・・・ふむ。






「往時は、駅の北側は風俗街、駅の南は映画館や大衆演劇の小屋なんかが並ぶ、一大歓楽街であった。で、さらに細い路地を入ると、食いっぱぐれた労働者や、行く当てのない、身分を明かせないオッチャン達が昼間からラリっていたりしていた。再開発によりそうした町並みは少しずつ消え、さらに阪神大震災が追い打ちをかけて古いディープな街を壊してしまった。今はそうした施設がきれいなマンションになっていたりする。まあ、それでもアンダーグラウンドな街であることにはかわりがないわけであるが」







ふむふむ。







「今回はその小綺麗になった町に、昔からある大衆食堂に行ってきた。新開地商店街の少し南の外れ、食堂の『トシヤ』」





ほう・・・。


『トシヤ』

食べログに記事がありましたので、リンクを貼っておきます。

http://r.tabelog.com/hyogo/A2801/A280102/28004444/






「この店は過去にも何度か訪れたことがあるんだけど、名物的に言われているのが焼きそばなんだ。まあ、せっかく近くを歩いていたので、ネタ探しついでにランチへ行ってみた」






ほう。





「新開地商店街を南へ下っていく。北側に比べると店舗は少ない。しかし南側には、関西の小劇団御用達の劇場、“コウベ アート ヴィレッジ センター”(通称“KAVC”)や、往時の雰囲気を伝える映画館(すっかりきれいな大型マンションの一階に入っている)や、大衆演劇の劇場(これも建物の上階はきれいなマンションだ)があったりする。『トシヤ』そんな劇場のすぐ近く」






ふむ。






「お店の斜め向かいは大衆演劇の劇場。ほぼ毎日どこかの一座が公演を行っているようだ」





下町的だな。






「お店は斜め向かいに」




ふむ。





「古くからあるお店だけど、近年の立て替えで全然普通に入れるレベル。店内は広いしきれい」






ふむ。
怖がらずに入ることが出来るわけだな。







「お店の方達も普通に愛想が良い。お約束のメニュー写真」






てらてらに光って全く分からない!







「とりあえず、名物のそば焼きをオーダーしよう。今回は“そばやき定食(すじ肉入り)”(750円)をオーダー」






ほう。





「すじ肉と言っても、硬い肉ではない。じっくり煮込まれていて、柔らかく食べやすい。ノーマルに比べて50円増しであるが、ここは是非すじ入りでオーダーして貰いたい」







「では、先にものを見て貰おう。どーん!」
(そばやき定食・すじ入り)






・・・黒い!?





「“黒いそば焼き”ってことで、ここの名物になっているんだ」






・・・ほほう。






「黒さの秘密の一つとして、まずそばがいわゆる焼きそばの麺ではなく、日本そばの麺を炒めてあるというのがある」






そば粉のそばか・・・!





「そして、かかっているタレ的なものがさらに黒い。噂ではすき焼きの割り下をヒントに作られたなんて事を聴いたことがあるけれど、真偽のほどは調べていないので不明。しかし、すき焼きの割り下でこれほど黒くなるだろうか?」







ふうむ・・・。







「それに、割り下で作るすき焼きは関東の文化。関西では醤油と砂糖で作るのが一般的。ここは神戸のど真ん中。その辺りも関西風だと思うのだが・・・」







・・・割り下なあ。






「定食なので、ご飯と味噌汁が付く。炭水化物のオンパレード。関西ではデフォルトな組み合わせ。ただ、予め言っておくが、そばやき自体がコテコテのソース焼きそばではないので、ちょっとおかずとしてのパワーは薄い。味噌汁は、赤だしに豚肉が少々入っている」







ふむ。







「寄ってみる。写真ではかなり黒く写ってしまっているけど、現物はそれほど強烈ではない」






・・・ほう。







「・・・さて、味なんだけど、さんざん言っているように、ソース味ではない。かといって醤油辛くもない。甘みとうま味が舌に残る。なんだか八丁味噌的な味もする。かといって味噌そのものの味ではないような・・・」







なんだそりゃ。







「想像するよりも、美味いものです。あと、すじ肉がすごく良い感じ」






ほう。







「見た目ほど濃い味ではないので、二口目くらいからご飯が食べづらくなります」





あら。






「とりあえず、飯の友というわけにはいかない感じ。ご飯をもてあまし気味に。あと、たっぷりタレ的なものがしみこんだ麺は、もちもちくちゃくちゃ。そして甘い薄味・・・。これもちょっともてあまし気味に・・・」






あらら。






「ランチではなく、おやつにそば焼きのみをオーダーするってのが正解かも知れませんな。まあ、不味いものではないので、残さず食べました。決して不味いわけではないですよ。むしろ美味い。誤解の無きように」






なるほど。






「たまにはちょっと毛色が変わったものもありかなって事で」





なるほどねえ・・・。

まあ、また何か面白いものがあれば記事にするように。


今回はこの辺りで終わる。