Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

少しだけ人間観察

 いらっしゃいませ。


 梅雨の時期って好きじゃないんですよ・・・。しばらく憂鬱だ…。




 彼はちょっと興味あることについて書いてみるらしい。





「電車なんかに乗っていると、他の人が読んでいる本とかが、とても気になる」





・・・それは非常識にも電車の中で携帯で話ししているDQNとかの会話の内容とかが気になってしまうとか、そういうことか。





「・・・たとえば、電車の中で、男子高校生が『少年ジャンプ』を読んでいる」




ふむ。





「おなじく、いかにもDQNなニイチャンが『ジャンプ』を読んでいる」





・・・ふむ。





「では、初老のスーツ姿の紳士が、カバンの中からおもむろに『ジャンプ』を取り出して読み始める。あれ?って思わないか」







ふうむ。







「若いお母さんと幼稚園くらいの子供が『ミッフィー』の絵本を電車の中で眺めている」





・・・ふむ。






「若い大学生風の男が電車の中で『ミッフイー』の絵本を広げている。違和感を覚えないか?その読んでいる人にちょっと興味がわかないか?」






ふうむ。






「女子高生が森鴎外の『舞姫』を読んでいるのを見かけると、ものすごい文学少女か、すごい英才教育を受けたのかなんて考えてみたり」







ふむ。






「隣のOLさん風の女性が、バレエの公演パンフなんかを眺めていて、どうやら熊川哲也のカンパニーの公演だったるすると、ああ、この人は熊川哲也のファンなんだなって普通に思ったり」








ふむふむ。







「同じく隣に座ったOLさん風の女性が雑誌『NON-NO』をひらいていると、ああ、この人はきらびやかな感じのファッションよりカワイイ感じのファッションが好きなんだろうなと思ってみたり」






ああ。







「新聞でも、サラリーマン風のスーツの人が『日本経済新聞』を広げているのと、学生さん風の人が広げているのとでは趣が違って。ああ、この人は仕事のために読んでいるんだとか、こっちの人は就職活動中かなとか考えてしまったり」






ふうむ。







「読んでいる本て、その人の“人となり”を少し感じさせるようなところがあって、なんだか興味をひかれるんだ」






ほう。






「中年女性が図書館で借りてきたらしい『大地の子』を読んでいる。年齢不詳の男性が、『人間の証明』を読んでいる。それぞれの趣味が垣間見られる」







ふむ。






「なんだかギャル風の女性が横溝正史を読んでいたり。うーん渋いセレクト。大学生風の男の子がものすごい勢いで『ガンツ』を読んでいたり。いたって普通」







・・・ふむ。







「サラリーマン風の若い男性が『ゼロからの電験三種』なんかを読んでいると、ああ、この人は仕事で電験を取らなきゃいけない仕事なんだろうなとか思ってみたり」






ふむふむ。







「なんだかその人に趣味とか仕事とか生き方とか、思想とか、そんなものまで見えてくるようで大変興味深い」






ほほう。






「向かいに座っている女子中学生が、伊坂幸太郎の『終末のフール』を読んでいた。女子中学生にはちょっと早いかもとか思いながらも、ああ、その本自分も読んだよと思ってちょっと親近感を感じてみたり」







・・・ところで、移動の電車の中で常に読書をしているキミは、周囲からはどう見られているんだろうな。







「・・・さあ。流行作家が好きな、ただのヲタク野郎くらいなもんでしょうな・・・」





最後は自虐の海に沈んだか。

今回はこのあたりで終わる。