Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『狐罠』 北森鴻 を読んだ

 いらっしゃいませ。



・・・確かに、一度水差しに移してからコップへ移すと、なんだか優雅に感じますね・・・。


・・・面倒くさいから別に良いです。




 彼は過日、北森鴻氏の小説、『狐罠』を読了したそうだ。今回はそれについての感想とか何とかをなんだかもやもやしながら書いていきたいそうだ。


氏の作品は初めてであるようだな。





「先日、知人の素敵女子MT嬢と観劇に行った際に、この作家さんの名前を教えてもらった。なんだかつい最近お亡くなりになった方らしい・・・」







・・・ほほう。






「なかなか面白かったですよ。かなり粘着質に取材をしてありますね。その辺りには好感が持てます」







ほう・・・。
では、恒例であるが、内容とかに触れてみるかね。もちろんネタバレ注意報発令ということで。






「主人公・宇佐見陶子は、店を構えずに骨董の売買を行う“旗師”と呼ばれるフリーのブローカー。あちこちで買い付けてきた品物を、骨董業者に売るという仕事をしている。目利きも確かで、複雑な骨董業界でも腕の良い旗師として活躍していた。

 ある時、怪しい噂の絶えない骨董屋・橘薫堂(きくんどう)から、良くできた贋作の器を買ってしまう。目利きをも騙してしまう『目利き殺し』を仕掛けられてしまったのだ。陶子は、自分自身のプライドのために橘薫堂に『目利き殺し』を仕返してやろうと思う。凄腕の贋作師を探しだし、贋作の漆器を橘薫堂に持ち込む仕掛けを考え出したのだ。

 しかし、橘薫堂の外商を担当していた女性が、他殺死体で発見されてしまったために、事態は少しずつ陶子が予想していた方向からずれていってしまう。

 果たして、陶子の意趣返しは成功するのか。また、殺された女性は橘薫堂にどうか関わってくるのか・・・」






簡潔にまとめてきたな。







「ストーリー自体はかなりシンプル。しかしながら小説全体のボリュームは結構たっぷり」






ほう。







「舞台が古美術や骨董の世界なので、その世界観を表現するために、“美”を“説明”する“言葉”が付いてくる。それが全体のボリュームをアップさせている」








ほう・・・。







「ただ、その言葉の表現は必ず必要なものなので、そこの部分はなかなか削ることは出来ないだろう。感覚としては、ソムリエがワインのイメージを表現するのに、どうしても詩的な表現を用いる必要がある、といった感じかな」








ふむ。







「絶対的な“美”、歴史を経たものにしか出せない“雰囲気”、そういった、超然的な美しさを言葉で表現することの難しさ・・・。美術を評論する人は、それを表現することが出来る“言葉”を知っていなければならない、ということ」







ふむ・・・。






「なので、それを理解して読めば、濃厚な感じの文章も納得して読める」






ふむふむ。







「美術の世界にしかないような様式美であるとか、独特な世界観であるとかを、かなり綿密に取材しているようで、その辺りには好感が持てた。そのため、主要登場人物のキャラクターが非常にたっており、物語に明確な形と色を与えていると感じた。なかなか惹きつけられます」








ほほう・・・。







「ただ、個人的にはその表現を人物の心理描写の余計なところにまでひっつけるので、そこのところが大変にくどい。正直なところ、この人物の心理描写がもう少し的確ならば、もっと濃縮された面白い作品になっただろうし、作品のテンポとかスピード感といったものが大幅に上がったのではないかと思う。惜しい限り」








ほう。









「鬱陶しい心理描写や情景描写を削れば、ものすごく良い作品になっていたんじゃないかと思いますね・・・」







なるほど・・・。

どうかね、この作品はおすすめできる作品かね。









「独特な世界である美術・骨董の世界を、非常にうまく一般の読者にも分かりやすく伝えている良作だと思います。推理ものとしてはそれほどものすごい推理が必要なものではないので、そこに主眼を置く方には向きませんが、読み物としてお勧めできます。通勤中の暇つぶしには良い感じではないでしょうか」







ふむ。

どうかね、続編が出ているようだが、読むかね。







「おそらく読むと思います。なかなか魅力的なキャラクターなので」






なるほどねえ・・・。


また何か面白い作品を読んだら感想とかを記事にするのだぞ。



ずいぶんとやっつけな文章であるが、今回はこの辺りで終わる。