観劇日記 TEAM-NACSの本公演、ニッポン公演 『WARRIER〜唄い続ける侍ロマン』 を観に、盛岡まで行ってきた
いらっしゃいませ。
ご無沙汰しておりました。
雪が融けてきて、お店を開けられるようになったんです。
・・・ええ、桜は5月くらいでしょうね・・・。
彼は過日、TEAM-NACSの本公演ツアーを観に、はるばる盛岡まで行ってきたらしい。
「お天気が荒れ模様でした」
ほう。
「以前の爆弾低気圧クラスの荒れかたとか何とか。まあ、雨風ともそれほどではなかったですが」
ふむ。
「さすがは雨男・大泉洋が出演するだけのことはあります」
神通力クラスだな。
「東北は基本的にエンターテインメント不毛地帯。もし来たとしても仙台までで止まってしまう」
ふむ。
「とりあえず現住所から一番近い公演場所ということでチケットを取ってみた今回の『盛岡キャラ・ホール』」
ふむふむ。
彼 「盛岡まで行くんだったら、東北新幹線ですかねえ」
青森県民 「そうですねえ。でもクルマでもすぐですよ。東北自動車道あるし。さっと行ってさっと戻ってこられると思いますよ」
「というような会話を県民としたので、今回クルマを飛ばしていってみることとしたんだが・・・」
ほう。
「また県民の“距離感”に騙された感じ。盛岡、とっても遠かった!」
ほう!
「高速飛ばして2時間近くかかる。クルマが得意ではないので高速道路2時間は、かなりな恐怖であった」
ふむ。
「今回はチケットを二枚取ったのだけれど、結局同行者を見つけることが出来なかったので、ボッチで盛岡くんだりまで行った。とりあえず早めにホールへたどり着いて、何とか当日券にあぶれた人(素敵女子)を見つけることが出来たので定価でお譲りした。正直あまり良い席ではなかったので、少々心苦しかったが」
まあ、無駄にならなくて良かったな。
「あと、雨模様だったので、建物の外観写真とかはありません。何だろう、“ホール”というより“公民館”でしたね、感じが。まあ、実際に市が運営している公民館の大ホールなわけですが。一見地味な建物の中に、1000人クラスの大ホールがあるとは・・・。ただ、どうも“ホール”としての威厳(?)が無いと云うか、味気ないと云うか・・・」
・・・。
「個人的には、“劇場”独特の“別世界感”みたいなものって、あるとお客さんとしてうれしいんですけどね・・・」
・・・ふむ・・・。
「ここからはネタバレ続出の予感。これから観に行こうかという人は読まない方がよろしいかと・・・」
ネタバレ注意報発令ということだな。
「さて、オープニングの音楽が鳴って開演。紗幕にプロジェクターでタイトルが映し出される」
ふむ。
「どうも観客が演劇慣れしていないのがここで分かるんだけど、オープニング曲がなって“拍手”。タイトルが映し出されただけで“場内どよめき”。映し出されたタイトルがアニメーションしていってさらさらと崩れていくだけで、お客さんさらに“拍手”。お客さん優しすぎる!!」
ほほう。
「このくらいのエフェクトで喜んでもらえるなら、“劇団☆新感線”とかを観たらこのお客さん達ははどのように反応してくれるのだろう」
新感線とかは逆にものすごいことをさらっとやってしまうから、お客さん無反応のような気がする。
「まあ、拍手する“間”をお客さんが感じてしまったからと云うのもあるだろうけどね」
・・・ふむ。
「進行はオーソドックスな紗幕芝居。紗幕を下ろした舞台前、紗幕を下ろした舞台奥、それに紗幕が飛んでいる(※吊り上げられて、上がりきっている)状態の3パターン。分かりやすくて好感が持てます」
ふむ。
「セットもシンプル。基本は階段状に組まれた状態のセットで、時々階段半ばを取り外して踊り場を作ったり、テラスを作ったりするけど。セットよりは15人の動きを見せたいってことだろうね。潔くてそれはそれでアリだと思います」
ふむふむ。
「今回は戦国武将モノ。時代考証とか何とかは言い出すときりがないくらいだけれど、芝居は“物語”。楽しめればよいのです。なのでここは目をつぶってもらって」
ふむ・・・。
「・・・さて、芝居の感想なんだけど・・・」
うむ。
「まずシナリオが厨二な感じのシナリオで」
・・・?
「厨二がダメと云っているわけではなくて。というか、エンタメのシナリオなんだから、ある意味厨二、大歓迎。むしろ結構厨二好きだし」
・・・。ならば?
「うーん、上手く表現できないんだけれど、シナリオが上質ではないというか・・・」
・・・?
「なんだろう、脚本が練られていないというか・・・。高校演劇でこれやられたら手放しで絶賛するんだろうけど、果たして、これがチケット代7000円のシナリオと云われたら『・・・?』な感じなんだよねえ」
・・・ふうむ。
「まあ、お客さんはTEAM-NACSを観に行っているわけで。そこそこ面白ければいいのかも知れない。3年ぶりに行われるお祭りってことであれば、まあ、そこまでのクオリティーを求めなくても、なのかなあ・・・。いや、でも・・・」
歯切れが悪いな。
「・・・話をギュイーント戻そう。今回芝居の題字がものすごいカッコイイ。この墨文字は大正解だね。因みにタイトルの『WARRIOR』は、“ウォーリアー”と読むのではなく“うぉりゃあああ!”と読むのだそうだ」
なるほど。
「今回はTEAM-NACSの5人だけではなくて、他にも15人のキャストが出演する」
ふむ。
「観終わってから思ったんだけど、TEAM-NACSは5人だけで芝居を作る方が絶対に面白い」
ほう。言い切った。
「コンパクトに、でも色々な要素を隙間にみっちり詰め込んでいく。小さめの風呂敷で、でも中身はしっかり詰まっていて、という感じ・・・」
ふうむ。
「今回は少々大きめの風呂敷であったね。このサイズの風呂敷ならば、もう少し中に物が、特に“物語”が詰め込むことが出来たはず。でもこの辺りは作り手側の馴れの問題かも知れないね・・・」
大きめの物を作り慣れれば自ずと結果が出てくるかもと云うことか・・・。
「さらに話はぎゅいーんと飛んで飛んで・・・」
飛ぶなあ・・・。
「会場入りを待っているときに、会場の前のポスターを見ていたんだけどね」
ふむ。
「今回はキャストが多いんだなあ、なんてぼんやり見ていたら」
ふむ。
「キャストの中に知り合いの名前が」
あれ?
「それまで全然気がつかなかったんだけど、どうやらオーディションに受かっていたようだ」
おおお。
・・・。
「中のキャストの写真を見てみると、やはり見知った後輩の顔・・・」
ほほう・・・。
「あまり目立たない役どころ(というか、基本的にその他大勢の役なので)なんですが、これから芝居を観に行く方、ちょっとだけ注目してあげて下さい・・・」
よろしくお願いします・・・。
「あと、例によって重箱の隅をつつくような粘着質な見方で申し訳がない話を」
相変わらずのいやらしさだな。
「舞台の面(ツラ)で舞を踊るシーンがあるんだけど、役者の着物の裾が引っかかって、かまちのオベタをひっくり返してしまった」
おお!大事故?
「最近のLED照明のおかげで筒体自体が大変小型化されているので、オベタは音もなく転がった。おそらく筒体自体が拳二つ分くらいの小さい物であったので、まあ大騒ぎにはならなかったが。20分くらい後に暗転があって、暗転あけで一応筒体は立ち上がっていた。まあもちろんシュートも何もあったものではないと思うが」
・・・おおお。
まあ、良かったな。
「・・・大ポカは、本当の大ラスに起こった・・・!!」
ええ!?
「本当にエンディングの直前で、大ラスの盛り上がり曲のエンディングで芝居のタイトルが書かれた大きな旗を舞台スタッフが掲げた瞬間、」
・・・!
「旗が捻れていて単なる三角形のオブジェにしか見えず・・・」
あああ・・・。
「“決め”の“決め”でやらかしてしまうとは・・・」
あああああ・・・。
「観ているこっちの背中に冷たい汗が流れたよ・・・」
やらかしてしまったか・・・。
まあ、舞台は生ものだからな・・・。何が起こるかは分からない・・・。
「それでも勢いで乗り切って、お客さんは大きな拍手でエンディングを迎えた。東北のお客さん、優しいですなあ」
“決め”で決まらずか・・・。
「嫌な見方をするお客さんで申し訳ないです・・・」
他のお客さんが優しいお客さんばかりで良かったな・・・。
「それからまあ、上演を終えて一路リンゴの国へ高速を走ったんですが・・・、帰りは行きよりももっと怖い!!!」
ほほう。
「まず、雨で視界が悪い!その上東北自動車道の明かりの無さは異常!!暗すぎる!さらに霧が発生していてさらに視界を奪っていく!」
おお。
「安全運転を心がけて2時間、なかなかな怖さでした・・・」
ふむ・・・。
「盛岡で一泊すべきであったかも知れない。盛岡冷麺、食べられなかった・・・」
で、芝居の感想の総括的なことをそろそろ・・・。
どうかね。
「全体的に見て、面白かったですよ。TEAM-NACSのメンバーはそれぞれに演技力が格段に上がっているし。色々新しい試みもあったし。3年ぶりの本公演と云うことで、お祭りムード満開であったし」
ふむふむ。
「まあ、個人的にはやはりもっと面白い本であったならと思いましたね・・・。あと、大きなお芝居を観すぎてしまっているせいか、やはりエンタメとして弱いというか・・・。新感線とかは、あの規模の芝居を半年に一度公演して東名阪を回っているわけで」
・・・。
「やはり技術的な物は相当に数をこなさないと成熟していかないのかなあなんて考えてしまいました・・・。・・・まあ、大きな芝居を見続けた物の戯言です。忘れて下さい・・・」
・・・ふむ。
「この記事を読んでしまって、これから観に行くのに興ざめな記事を書きやがって!と云う方、ご安心下さい。全然面白いお芝居ですから!しっかり楽しめると思いますよ」
なるほどねえ・・・。
3年ぶりのお祭りだし、細かいことは気にせず楽しむのが吉ということかな。
今回はこの辺りで終わる。
どうでも良いがその重箱の隅をつつくような観劇の仕方、何とかせよ!小人よ!