Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

短い 読書感想文 『すれ違う背中を』 乃南アサ を読んだ


すれ違う背中を 乃南アサ




今年の初頭に、NHKでドラマ化もされていた“ムショ帰りシリーズ”こと、『いつか陽のあたる場所で』の続編、『すれ違う背中を』。


前作と同じく連作短編の形で、刑期を終えて東京の下町でひっそりと生きる主人公“小森谷 芭子”と同じくムショ帰りの親友、“江口 綾香”の日常を静かに、そしてほんの少しサスペンスのエッセンスを振りかけて描いていく。人からかまわれないで生きようとする人にとっては、日常生活は人よりほんの少しサスペンスなんだ。


下町に人々とふれあいつつ、しかし前科者であることを隠して人々と微妙に距離を置いてしか生きていけないジレンマ。


少しずつではあるが生活の基盤を作り、生きていくことに張り合いを持ち始めた二人。

幸せになってもらいたいと思いつつ、もう少しこの繊細な感じのストーリーに浸っていたいと思う読者心理・・・。


(このシリーズにおける)乃南アサ氏は、繊細な心理描写がとても上手い。何というか、しとしとと雨が降る感じというか・・・。


派手な作品ではないけれど、かなりおすすめ。


もうすぐ3作目も文庫化されるかな?