彼のライブ感想記。2014年12月21日・大阪オリックス劇場(旧・大阪厚生年金会館)
上原ひろみ氏の日本ツアーの最終日に行ってきたらしい。どうであったか。
「彼女らの、一年にも及ぶ長いライブツアーの最終日。すさまじい演奏でした・・・」
ほう。
「正直何が行われているのか途中で理解の範疇を超えてしまうのだけれど、舞台上から次々と客席に打ち込まれていくマシンガンの弾。左右、正面から撃ち続けられる弾幕のクロス・ファイアポイントに、観客はずっとさらされ続けるわけです・・・」
・・・?
「ともかく、すごい手数なのですよ。そして、一曲の中で何度も繰り返されるリズムチェンジ、ポリリズム、前に後ろに自在に動くビート、でもそれはグルーヴ(引きずる)感だけではなく、時には短距離ランナーのスタートダッシュのように突っ込んできたり・・・」
ふむ・・・。
「いわゆる“ジャズ”という感じではなく、感覚的にはハード・コアとかを聴いているのと大差ない感じ。そのくらいの勢いで音の濁流が舞台上から流れてくる。その音圧に押しつぶされていくような感じがとにかく気持ちいい」
表現が抽象的でいまいち伝わらないが、褒めているようであるな。
「べた褒めです」
おお。
「実は、このツアーを某県で一回見たんだけど、その時と演奏のキレキレ状態が違いすぎた」
ほう。
「やはりツアーの最終日というのは気合が入るんだね?」
・・・。
「ちょっと表現が変かもしれないけど、某県で見た演奏では“飛び道具”が多い感じだったけど、今回は基本の正拳やけり技が連続したコンビネーションで打ち込まれる感じというか・・・」
変な比喩。
レポート的なものをもう少ししたまえよ。
「今回ゲットした席が前から9列目という好位置でした!運がよかった!」
へえ。
「ただ、ずいぶん上手の端で、上原ひろみ氏やアンソニー・ジャクソン氏はずいぶん遠くに見える感じで・・・。しかしながらドラムのサイモン・フィリップス氏を背後から見るような感じで、特にキックを踏む両足の動きがはっきりとうかがえる位置。キックを連打しているところを見ていると、それだけで脳内に謎の快楽物質がどくどくわき出してくる」
・・・。
「しかし、改装後初めてオリックス劇場に行ったんだけど、いやあ、変わったねえ」
そりゃ改装したわけだからな。
「“劇場ありき”、ではなく、“高級高層マンションがまずありき”で、その横に何となく二千人規模のホールがひっついているというちょっと不思議な外観」
ふむ。
「劇場の入り口も実にこぢんまり。中之島あたりの大型オフィスビル入り口とかの方が、よほど堂々としている感じ」
・・・へえ。
「心斎橋あたりからあふれてきた商業施設たちが、四つ橋近辺にまで広がってきている。駅も近い。高層マンションが建つにはうってつけの場所なんだね」
・・・ふむ。
「フェスティバル・ホールも復活し、無くなるかも?といった噂が流れていた厚生年金会館大ホールも“オリックス劇場”というかたちで復活した。大阪クラスの都市だと、やはり二千人規模の劇場というのは複数必要だね」
・・・そうだな。
「ちょっと個人的な感想になるんだけど、ホールに入って、なんだかデッドな空間だなと思った」
・・・?
「個人的には“鳴らない”ホールより“鳴る”ホールの方が好きなので。誤解のないように書いておくと、“鳴る”“鳴らない”は“良い”“悪い”ではないので。鳴るホールには鳴るホールの良さが、鳴りにくい(鳴らない)ホールには鳴りにくいホールの良さがそれぞれあるので」
・・・ふむ。
で、どうかね。今回のライブは良かったかね。
「本当に“音楽”を堪能しました。良い三時間を、本当にありがとうと云いたいですね」
それは良かったな。
気分転換になったならそれで良し。
今回はこのあたりで終わる。