Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

青森県立美術館に、奈良美智展 『君や 僕に ちょっと似ている』 を観に行った

 リンゴの国の中心地、青森市へ、奈良美智展を観に行くべくクルマを走らせた。東北道を使って30分くらいであったろうか。

 市街地から少し離れたところにあり、広大な敷地の中に近代的な白い大きな建物がある。



 近くの駐車場から歩いて行くと、美術館のスケジュールなどが掲示された大きな看板が目に入ってくるが、建物にたどり着くにはそこからさらに数分歩くことになる。




 建物自体がなかなかに複雑な形をしており、最初は正面玄関がどこにあるのか良く分からなかった。




 今回は、奈良美智展を観に行ったわけであるが、美術館の建物内部はもちろん撮影厳禁。もちろん展示作品の写真なんかはない。その代わりと言ってはなんだが、この美術館のシンボル的存在、“あおもり犬”を先に撮影しに行った。この“あおもり犬”も奈良氏の作品である。

 “あおもり犬”は大きなコンクリート製のアート。建物の外にあり、館内の受付を通らなくともこの作品のそばまでは行けるようだ(館内からもガラス越しにその姿を観ることが出来る)。


 建物は現代的な造りで、機能的には(わざと)作っていない。正面入り口外にある、“あおもり犬はこちら”の立て札から建物の外周をぐるりと廻り、狭い階段を上ったり下ったり・・・(案内板曰く、歩いて5,6分かかる)。

 ガリッと地面を半地下にくりぬいたところに“あおもり犬”は居た。

あおもり犬


 この写真では今一つ大きさが分からないと思われるが、おそらくビル3階分くらいあるんじゃないかな・・・。





 既に冬の装い。普段は帽子は被っていなかったはず。





 眠っているような?






 後ろの回り込んでみる。軽く触ってみたが、どうやら素材はコンクリートらしい。表面の塗装は何だろう?とにかくこの美しい白い色を維持するのは結構大変だと思う。





 眠っているようにも、微笑んでいるようにも見える。





 大きさが分かるかな?大きいけれど、癒し度高し。





 さて、元来た道をまた5分くらいかけて正面入り口に戻ろう。この正面入り口も、これだけ大きな建物の入り口らしからぬ小ささ。初めて行ったので、まずこの入口が発見できなかった・・・。


 当日券1200円。企画展も常設展もこれ一枚で観ることが出来るようだ。こういった美術館や博物館では、時々入場料だけでは常設展だけしか観ることが出来ず、企画展には別に料金を払わなければならないような所もあるが。







 因みに、館内を一巡した後で分かったことなのだが、この美術館は、常設展示よりも定期的に行う企画展に重きを置いているようであった。

 
 ただ、常設のものでもシャガール作のバレエの舞台背景画3枚は一見の価値がある。圧巻であった。






 さて、奈良美智展である。有名な美術家なので、テレビなどで作品を見かけることも多かったのだが、生で作品を観るのは初めて。しかもすべてが新作なのだそうな(もちろん写真はありませんよ・・・)。



 少しにらんでくるかのような少女の絵や、ほんわかした感じの、犬の塑像・・・。それくらいしか思い浮かばなかったんだけれど・・・。



 やられた・・・。



 展示室に入ってすぐの場所に置かれていた『Young Mother』という作品がすごかった。

 大きな証明写真かといわんばかりの女性(少女?)のバストショット(美術ではそういう言い方はしないのかな?)。背景はべた塗りで・・・。あれ?なんだ?べた塗りじゃない?女性の背後に奥行きが見える・・・!すごい・・・!


 なんだろう?これは“若い母親”、というより、“若かりし頃のお母さん”のような気がする・・・。お母さんにもあなたを生む前の若い頃があって、何十年もして今があって・・・。


 大人になった“君(僕?)”が偶然お母さんの若い頃の写真を見つけて・・・。


 考えすぎ?イメージ膨らみすぎ?



 ああ、でもなんとなく、この絵が、この展示の、一枚目、なんだな、と強く思った。奈良美智、単なるポップ・カルチャーではないんだ、きっと・・・。





 今回は新作を展示しているということで、大きなブロンズ像なんかもあるが、個人的には絵画のほうがインパクトが強かった。


 しかし、絵画と違って彫塑の作品というのは難しいんだろうね。鑑賞者の目線は全方位からあるわけだし。つまり、あらゆる方向から観ても、破綻していない状態にしないといけないわけで。当たり前だけど。



 彫塑作品で言えば、『White Ghost』という大型作品がものすごくインパクトがあった。図録では屋外の外光の下で展示されているけれど、今回は屋内で、照明を落とした中で展示されていた。暗闇の中に、白い、大きな少女(?)の像・・・。不思議な神々しさがある・・・。


 因みに素材はFRPにウレタン塗装。・・・どうでも良い情報。






 もちろん奈良氏らしいポップな作品も多数展示されていた。パンキーな感じがとても気持ちいい。・・・もちろん写真はありませんが。





 一時間半ほど館内で美術鑑賞(そんなたいしたものではないか)をして、ショップでポストカードや図録を購入して、美術館を後にしました。



図録



 あ、館内のカフェでお茶もしました。某Zホテルのカフェが入っているらしく、なかなか美味しいスイーツを食べさせてくれましたよ。

ポストカードを写メってみた。





 個人的な感想なんだけれど・・・、

 例えば村上隆氏は、“自分の作品世界はこうです!”という感じで作品を提示する人で(多分)・・・。なので同じ価値観の人を強烈に惹きつける代わりに、異なった価値観の人にはなかなか理解されなくて・・・。

 逆に奈良美智氏は、“自分には世界はこう見えるんだけど、君にはどう(見える)?”という感じで作品を提示していて、色々価値観の違う人にも受け入れられやすいんじゃないのかなと・・・。


 「表現の違い」とかいうやつでしょうか。


 門外漢なんで、的外れなことを言っているようなら申し訳ないですが。




 とりあえず、存外楽しめた一日でありました。