いらっしゃいませ。
淀川の河川敷にたたずみ、日が落ちていくところを眺めながら、脳内BGMに『夜明けのスキャット』が流れて・・・。
ああ、想像だけでも切なくなってきました!
過日彼は、桜庭一樹氏の小説、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかをじんわりと書いてみたいらしい。
どうであったかね。
「これ、良かったです!」
おお、褒めておるな。
「まあ、読む人の趣味とかあると思うんだけど、この作品の文章のリズミカルな心地よさは、とても素晴らしい!」
ほう。
では感想なんかの前に、内容に触れておくかね。例によって例のごとくネタバレ注意報ということで。
「いんらんになってしまった母親から、“たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった”少女・川村七竈(かわむら ななかまど)は、美しいそのかんばせに視線を送ってくる男達を軽蔑し、自分のかんばせを嫌に思い、鉄道模型を愛し、幼なじみの同じく美しい少年、桂雪風(かつら ゆきかぜ)だけを友として幼少の頃から高校生まで生活してきた。
母は男を求めて出奔を繰り返し、家にはほとんど寄りつかず、小学生辺りからほとんど祖父の手で育てられてきた。
孤高の青春を送る七竈であったが、可愛そうな大人達は彼女を放って置いてくれない。実父を名乗る男、芸能プロダクションの女性スカウト、雪風の両親、そして、奔放に生きるいんらんな母、優菜・・・。そんな大人達の行動が七竈の心に何かを残していく・・・。
そして、高校三年生になった七竈と雪風には、それぞれの道が待っていた・・・」
うーん、さっぱり分からない内容紹介であるな。
「書いていても上手く内容をまとめられない感じで・・・。上手くまとまらないけれど、なんだかとても分かりやすい内容というか・・・」
さらに分からんな。
「主人公はもちろんタイトルにもなっている七竈であるが、それ以外にも各章で語りが変わる。母・優菜であったり、愛犬であったり、雪風であったり、雪風の母であったり・・・」
ふむ。
「個人的には、最終章の、芸能プロダクションのスカウト・梅木の語りが今ひとつであったかな?面白くないとかではなくて、ちょっと蛇足的。もちろんそれに意味はあるんだけれど。あとどうもそれまでのリズミカルな感じの文章が、少しスポイルされたような気もした」
・・・ふむ。
「この『少女七竈と七人の可愛そうな大人』、それに『赤朽葉家の伝説』、さらに『私の男』を読んだ印象であるけれど、“女の作家さん”が、“女の目線”で、“女の話”を書いているということをものすごく感じさせる」
ほう。
「その感性や目線は、“男の作家さん”が描く“女の人”とは明らかに違うように思う」
ふむ。
「女性目線の赤裸々さというか、そういう感覚が文章中にある。その“女の人”の描き方にリアリティがあるような気がする」
なるほど。
「今作で言えば、主人公・七竈の母・優菜と、雪風の母・多岐にそんな匂いを感じる。二人の生き方はそれぞれに“女”な感じがするのだ」
ふむ。
「ある日突然奔放な女になってしまった優菜。奔放に生きていたはずが、今や6人の子供の母として主婦業にいそしむ多岐。そのどちらもが“女”な感じがするのだ」
・・・ふむ。
「この辺りのキャラクターはたいへんに面白いので、読んでいてザクザクと物語が脳に入ってくる」
ふむ。
「あと個人的には愛犬“ビショップ”の語りがなかなか好感度が高いです」
なるほど。
で、どうかね、この本はお勧め出来る本かね。
「まあ、あんまり学生さんが読む本ではないと思いますが、女子大生の方、女の生き方について考えるのに良い本かも知れません。主婦の方、これは午後の暇な時間にぴったりです。お仕事をされている方、通勤時間にも良いと思います」
なるほどねえ。
「読後に、主人公の七竈がその後どういう人生を送ったのかがものすごく気になってしまいました。ただ、悩んで悩んで選んだ道なので、良い人生を送っているでしょう・・・」
ふうむ・・。
良く分からんが、まあ良いか。詳しくはぜひ読んでみてくださいという事、かな。
尻切れな感じではあるが、今回はこの辺りで終わる。