いらっしゃいませ。
この間、湯冷ましがなぜおいしくないかって話しを小耳に挟みましてね。
なんでも、沸騰する際に水蒸気とともにうま味であるミネラル分が飛んで行っちゃうらしいですよ。
だから何だかおいしく感じないんだとか。白湯くらいなら大丈夫なんでしょうかねえ?眉唾ですか?
うちは今日も蛇口から直通、うま味たっぷりですよ!
彼は先日恩田陸氏の『禁じられた楽園』読了した。ちらりと感想を書きたいらしい。
どんな内容の本かね。
「うーん、ホラーというか何というか」
怖い本なのかね。
「じりじりとした焦りと緊迫感。別にバッタバッタと人が殺されていくわけではなく」
一応内容なんかを書きたまえよ。
「『平口捷は、若き天才美術家の烏山響一から招待され、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館を訪れた。そこは、むせかえるような自然と奇妙な芸術作品、そして、得体の知れない“恐怖”に満ちていた……。
現代の語り部が贈る、幻想ホラー超大作。 』というようなことが文庫本の裏に書かれておった」
相変わらずの手抜きぶりだな。
「・・・ネタバレせぬ方が良いかと思ってのことである」
言い訳に続いて感想とかを。
「前述したが、ホラーではあるが次々と人が死ぬわけではなく。まあ殺人事件も起こるのだが。ただそれは本編の主たる物語のためのイベントのようなものでしかない」
ほう。
「ポイントは、物語の鍵となる登場人物『烏山響一』という人物がカリスマ的な現代美術家であるということ」
ふむ。
「このため、作中に実験的な現代美術のインスタレーションに関する記述が多数出てくる。まあその殆どが『負』や『混沌』をテーマとした、しかしながら人間が思わずのぞき込みたくなるような芸術作品として登場する」
『負の芸術』ということか。
「巨大な現代アートが広大な山林の中に点在し、その内部に入ったりしながら芸術を体感する。ただし体感者の受ける印象はジリジリとした恐怖であったり、消してしまいたい過去の追体験であったり」
この作品のメインはそこかね。
「現代アートの描写と、負のエネルギーに犯されていく登場人物の心理描写がとても良い。特に現代アートの描写は脳内に視覚的イメージをしっかりと描くことが出来る。最初はやたらと場面の説明がうだうだとまどろっこしい感じがしたが、途中からこの心象風景を表現するためだったんだと納得できる」
なるほど。読んでいるときどんなイメージが湧いてきたかね。
「じとじとと気分を萎えさせる暑さ、行けども行けども出口が見えない焦り、芸術に対する欲求、『負』や『混沌』に対する畏怖というか憧れというか欲求というか・・・そんな感じのキーワードをイメージしたね」
やはりホラーらしいキーワードが並んでいる感じかな。
そういえば、瀬戸内海にベネッセが企業メセナかなんかで作った体感できる現代アートが点在する島があったような気がするな。宿泊設備もあって、島内をぶらぶら散策しながら大きな現代アートに触れたり中に入ったり出来るという・・・。
「香川県の直島だな。『Benesse Art Site Naoshima』という名称で直島のあちこちに体感できる現代アートやインスタレーションを点在させていて実際にアートに触れることが出来たりするそうだ」
Benesse Art Site Naoshima
島内には現代アートの美術館やベネッセが運営する宿泊施設や民宿なんかもあるそうだ。詳細は上記ホームページをごらんいただきたい。
もちろんこちらの現代アートは『負』や『混沌』や『恐怖』ではないのでご安心を。
また、彼が敬愛しておる旅日記ブロガーのmereco様が実際に旅行に行かれており、記事にされておられたのでそちらもごらんになれば大変参考になるかと。
『メレンゲが腐るほど恋したい』
http://d.hatena.ne.jp/mereco/20091007/p1
若干後半読書感想文ではなかった気がするが、まあ、よしとするか。
「終わりよければすべてよし」
だから終わりきってない感じなんだってば!