Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

掘り下げる必要/不必要

 いらっしゃいませ。


・・・まあ、冷たい水でも・・・。




 彼は最近テレビのコマーシャルを見ていてどうも引っかかるものがあったらしい。それについて今回は書いてみたいらしい。

ところで、火にかけっぱなしのカレーの鍋は大丈夫か?




「その生活感の漂う問いかけは置いておいて。最近頻繁にコマーシャルで流れている映画についてなんだが」





ほう。

それは?





「まあ、話題作なんだとは思うんだけど、『猿の惑星:創世記ジェネシス)』についてなんだが」






・・・ふむ。






「コマーシャルでさんざん流れているのが、“なぜ人類は滅亡して、類人猿の世界になってしまったのか”という感じのやつで」







ふむ。






「なんかコマーシャルを見ている限りでは、アルツハイマーの新薬を動物実験チンパンジーに与えたらめっちゃくちゃに知能が伸びて(進化?)、類人猿を率いて人類を襲う的な話しっぽい」





・・・ふむ。






「初代『猿の惑星』をご存じだろうか?というか、知らない人の方が少ないであろうが」






リメイク作品も近年作られていたようだしな。






「宇宙船の事故で地球型惑星に不時着した宇宙飛行士が見たものは、高度な知能を持った類人猿が支配する世界で、人類は下等な知識しか持ち合わせず、家畜のように扱われている世界であった。宇宙飛行士も監禁・拘束され、猿語を理解する家畜として扱われる。何とか脱走に成功し、類人猿たちの“禁断の地”へたどり着いた宇宙飛行士が見たものは、荒れ地の中でがれきと化した“自由の女神像”であった。そう、彼がたどり着いた惑星は、地球に似た未知の惑星ではなく、人類が衰退した後、高度に進化した類人猿たちが世界を支配する未来の地球であったのだ・・・!」






語ったなあ・・・。
まあ、コンパクトにまとめてきたな。






「この物語で重要なのは、猿の正体がどうとかって事ではなくて、“遠くの惑星に不時着したのではなく、実は未来の地球に飛ばされてきていた!”というどんでん返し的ラストが重要なんじゃないかと思うんだが」







・・・ふむ。






「猿がどういう風に進化したかなんてことは掘り下げる必要はないんじゃないかと」






ふむ・・・。





「それは“何でも良い”し、“何か分からない”状態でも良いものだと思う。むしろそこは未知であった方がずっと面白いと思うのだが」






ほう。






「『ゴドーを待ちながら』を観て、その後に(例えば)『救済者ゴドー登場!!!』とかって芝居はいらないって感じ?」






うーむ。

その喩えがあっているのかどうだか・・・。






「まあ、あくまで『猿の惑星』の外伝だからオーケーってスタンスだとは思うんだけど、“この掘り下げ、いる?いらない?”って訊かれたら、個人的にはなくても良いじゃないかなあと」






・・・。





「べつにわからなくていいものは、分からなくても良いって気がする。・・・今回のこのパターンは、マクガフィンというものとはちょっと違うけど」






キミの中での“マクガフィン”の定義も少々曖昧なようだな。

まあ、“マクガフィン”自体が実態のないものであったりするわけだから、それはまあ良いか。







「自分は物語の作り手ではないので、ものすごく読み手目線で今回は書いているけれど、実際に作る方はどう思っているか、ちょっと興味がある」






映画的にはそこそこ当たれば何でも良いんじゃないか?







「“実は双子だった!”とか、“実は生きていた!”とか、“実は鞄の中身が違っていた!”とかそういう後付けもオーケーって事になるのかな?正直好きじゃないです、物語の風呂敷に無理矢理継ぎ接ぎするのって」







ふむ・・・。

ところで、カレーの鍋は本当に大丈夫なのか?





「・・・いい加減火を止めよう・・・」




今回はこの辺りで終わる。

まとまらない文章であったな!もう少し精進せよ!