Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『ガニメデの優しい巨人 The Gentle Giants Of Ganymede』 ジェイムズ・パトリック・ホーガン James Patrick Hogan 訳:池 央耿 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 なんだか最近のトレンドは、ゴーヤの苗らしいですね。色々流行るなあ・・・。





 彼は過日、ジェイムズ・パトリック・ホーガン氏のSF小説、『ガニメデの優しい巨人』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかを、つるつるしこしこと書いていきたいそうだ。


シリーズ物であるな。




「以前に読んだデビュー作『星を継ぐもの』に続く第二部。相変わらず翻訳物は読むのに手間取る」






・・・ふむ。





「しかもこの作品、言い回しが色々とまどろっこしい上に、科学的な専門用語的な物が随所に出てくる。その言葉を何となくニュアンスで理解しながら読み進めなければならず、読んでいても自分自身、本当に内容を理解出来ているのかなんて考えながら読まなければならなかった。まあ、その辺りのところは前作も同じなんだけどね」







翻訳物で、古典的SF・・・。まあ、両方とも読み進みにくい要素ではあるな。

では、例によって例の如く、内容に触れていくかね。ここから先はネタバレ注意報発令ということで。







「月面で発見された、深紅の宇宙服を着た、人間の死体はなんと死後五万年を経過したものであった。UNSAに所属する科学者・ヴィクター・ハントとそのチームは、二年の歳月をかけて、この死体が、五万年前に崩壊してしまった惑星<ミネルヴァ>から来たものであると結論づけた。<ミネルヴァ>は崩壊し、ほとんどは小惑星体の元となり、一部は冥王星となった。そして、<ミネルヴァ>の衛星は、母星の崩壊と共に太陽の引力で宇宙をさまよい、ついに地球の月になった・・・。


 しかし、まだ疑問や問題点が残る。<ミネルヴァ>には、“人類”以前に別な知的生命体が支配していたのだ。その痕跡は木星の衛星ガニメデの氷の下から現れた古代の大型宇宙船が物語っていた。それは<ミネルヴァ>崩壊より遙か以前、二千五百万年前の物であったのだ。果たしてその先史文明はなぜ消えてしまったのだろうか・・・。

 ガニメデで、総力を挙げて先史文明の宇宙船の調査を続行していたハント達、ある時宇宙の一角から未確認の宇宙船らしき物が接近してくる。小型の宇宙船でおそるおそるドッキングを試み、果たして中から現れたのは、二千五百万年前に居なくなった<ミネルヴァ>の住人達、通称“ガニメアン”達であった。人類が初めて遭遇する異星人。“ガニメアン”達との歴史的な接触を果たす。

 果たして、二千五百万年前に消えてしまった“ガニメアン”達はどこに消えたのか。また、彼らの先史文明は、太古の地球の生物にどのような影響を与えていたのか・・・。これらの謎は解明されるのであろうか・・・」







おお、なんだかやたらとしっかりまとめてきたな。






「前作のまとめ的な物も含んでいるからら文章量は増えたね・・・。内容的には概ねこんな感じです」






ふむ。






「さて、感想的な物であるけど、基本的に面白かったです。前作を読んでいれば、少々まどろっこしくはありますが、面白く読むことが出来ると思いますよ。さらに第三部の『巨人達の星』にも興味が湧いてくるんじゃないでしょうか」







ほほう。






「まあ、概ねこんな感じであったんだけど、個人的にどうも引っかかる部分が多くて・・・」







ほう?







「まあ、突っ込み所というかなんというか・・・。あ、この先ガシガシネタバレするかもです」








また重箱の隅をつつくような読み方をしていたわけであるな。







「この物語のほとんどの部分は、『異星人とのファーストコンタクト』に割かれている」







ふむ。







「この、全く未知の文明同士の接触という、ものすごくデリケートな部分をこの物語ではものすごくさらっとやってしまう」








・・・ほう。







「異星人同士の初接触ですよ?通常では考えることすら出来ないカルチャーギャップがあるわけですよ。しかしながら物語内ではかなりなスピードでお互いが馴染んでいく。異星人の文明、スーパーコンピューターの“ゾラック”が間に入って翻訳やなんかを引き受けている状態であるにしても、お互いの距離感が縮まる速度が異常に速い」






・・・ふむ。






「まあ、大きな設定として、ガニメアン達は争いを行うという概念が無く、お互いを協調し合う種族であるという前提で物語が進行していっているということなんだろうけど」







ふむふむ。







「例えば、アマゾンの未開のジャングルに、全く知られていない未開の部族が居たとして、探検隊とかがその部族を“発見”して、初めてコミュニケーションを図ろうとするわけですよ。同じ地球人同士ですよ?確かに肌の色は違い、言語も価値観も違うとは思うけれど、同じ地球人同士です」






・・・ふむ。







「大きな視点から見ると、ある意味同じ種族です。宇宙規模からいうと」







ふむ。






「その、“同じ種族”であっても、ファーストコンタクトからコミュニケーションをとり、お互いの文化を理解するのにどれだけの長い時間がかかるか、考えられますか?」







・・・誰に問いかけてる?







「これが、進化の大元すら違う、全くの異星人が相手のコンタクトで、どれだけの時間がかかるか、ですよ」








ほう。






「全く違う惑星で進化してるんですよ、お互い。周辺の生物も、食生活も、風習も全く違うわけですよ。お互いがそれらを理解し合えるのって、そう簡単なことではないし、生物的に違うので、色々と問題があると思うんだけどねえ・・」






ふむ。例えば?







「ガニメアンはベジタリアンである。それは良いとしよう。<ミネルヴァ>の植物を食べていたわけだ。だからといって、地球の植物が食べられるとは限らない。ものすごい早い段階で地球人はガニメアンを食事に招待して“地球の植物”を食べさせている。ガニメアンは、そんな未知の食べ物を平然と食べる。自分がもし同じ立場で、全く違う星の食べ物を食べろといわれても気持ち悪くて食べようという気にならないだろうし、果たして異星の物が自分に無害なのか有害なのかすら分からない状態で、それを食べるのは不可能に近いと思うのだが・・・。設定上、近しいものを食べるということになるわけだけど、本来ならそのほうが稀な話であって。本来なら、異星の物を食べようとするだけで、かなりなドラマが展開されると思うんだが」







・・・ほほう。







「タンパク質の組成が違うだとか、ある成分が毒になるかもだとか、味覚が違っているがとか(そもそも“味覚”というのが地球的?)、(ガニメアンにとって)見た目が気持ち悪いであるとか、そういったおよそ想定される多数のハードルを飛び越える様は全く記述がない。スーパーコンピューターが指定した地球の野菜をすぐさま食べる。それで良いのか?」







さあ・・・。






「さっきの“アマゾンの種族”を例にとってみよう。例えば自分が発見者だとして、運良く何とはなしにファーストコンタクトに成功してコミュニケーションをとることになったとして。いざ、先方と食事をせねばならない。しかしながら出された食事は見たこともない植物と、昆虫料理ばかり・・・。自分にはゲテモノにしか思えない物ばかりが食卓に並ぶわけだ。食べられることは知識として理解は出来ている。しかし、果たしてそれをすぐに食べることが出来るかどうかというのは別問題。気持ち悪くて食べることが出来ないかも知れない。“同じ種族”ですらこんな状態になり得るわけだ。果たして、異星人が食べろといって出してきた物を、なんの抵抗もなく食べることが出来るのだろうか?」






・・・さあねえ・・・。







「ガニメアンは、二本の手と二本の足を持ち、骨格の構造などは違えどもヒューマノイド型と言えなくはない外観をしている。それでも地球人とは明らかに違う外観をしているわけで。地球人にとってはガニメアンは異物に見えるだろうし、ガニメアンにとっては地球人はやはり異物に見えるだろう。そう簡単にスタートレックの世界のようになれるとは到底思わないんだが」






・・・まあ、気持ちの良いもんではないだろうなあ・・・。







「ちょっと変な例であるが、クラークのSF小説、『幼年期の終わり』では、外宇宙から来た異星人は何世紀もかけて地球人に自らの存在を違和感なく捉えることが出来るようにした(もちろんそれは伏線であるんだけれど)。異文化の融和というのは、そのくらい時間のかかることであると思うのだけどね。もっと変な例では、アニメ『伝説巨神イデオン』では、種族の大元が同じでも、違う星でそれぞれが異なった文明を築いたがために、ファーストコンタクトから、早々に殺し合いに発展してしまう。異文化・異星人って、そのくらいのカルチャーギャップがあってしかるべきなんだと思うけどねえ・・・」







・・・相変わらずケツの穴の小さい本の読み方をするヤツだな・・・。








「因みに『イデオン』は、富野作品らしく、最後はありとあらゆる登場人物が全員死んでしまう。子供向けのアニメとは思えない展開」







イデオン』はおいておけ。








「まあ、細かいところで突っ込みどころ満載で、ちょっと釈然としないまま読み終えてしまった・・・」







なるほど・・・。

ちまちまと細かいところの話ばかり書いていたが、基本的には面白かったわけであるな?









「面白かったですよ。さすがはベストセラーだけのことはあります。前作を読んでいる方には基本的にお勧めです」







第三部は読むかね。







「気が向いたら読むかもですね。まだ回収されていない伏線が堂々と残っていたりするので・・・」






なるほどねえ・・・。

まあ、また何か面白い物を読んだら感想を書くのだぞ、ケツの穴の小さいキミよ。



今回はこの辺りで終わる。