Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

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CDレビュー 『THE POWER STATION』 THE POWER STATION

 いらっしゃいませ。

 一雨ごとに秋らしくなってきます。

・・・水の需要が減るかもです・・。



 彼は二日続けて魔窟と化したライブラリーをのぞき込んでいる。またCDレビューで記事のお茶を濁そうとしているらしい。そんなにも書くことが無いのだろうか。それとも前回、前々回のCDレビューのあまりの『?』セレクトを反省してちゃんと皆様にお勧めできるようなCDを紹介しようと心を入れ替えることにしたのだろうか。





「今回も良作のCDを紹介していきますよ」





『THE POWER STATION』 by THE POWER STATION





1985 CP21-6020

produced by Bernard Edwards




えーと、どなたですかね、これは。






「このアルバム自体は当時大ヒットしてるんだけどね」








ほう?






「『THE POWER STASION』というバンド形態のユニットなんだけど、ボーカルにイギリスでは有名であったロバート・パーマー、ドラムに“シック”のトニー・トンプソン、ギターに“デュラン・デュラン”のアンディー・テイラー、ベースも同じく“デュラン・デュラン”のジョン・テイラー。メンバー構成的にはかなり面白い組み合わせ」






ギターとベースにかなりなアイドル臭さがあるが。






「まあ、“デュラン・デュラン”自体はかなりアイドルチックなポップグループだけどね。このメンバーの組み合わせでも、『おいおい、アンディー・テイラーってギター弾けるのかよ』的な感じではあるが」





まさに。






「正直なところ、アンディー・テイラーのギターのシールドはライブ中アンプに繋がってないんじゃないかと思ってたし、そういう目で見ていた人って、結構多いんじゃないかな」





そういえば、余談ではあるが、『ワム!』の片割れであるアンドリューのギターもライブ中は鳴ってないんじゃないかなんて言われてたりしてたな。






「まあ、アイドル目線で見られる人とか、バンド内でやたらと地味とか、相棒が有能すぎるとかって場合はなんだかそういう噂が立つよな・・・」






で、今回のこのアルバムのギター、そしてベースがアイドル的バンドのメンバー。どうであったかね。






「意外や意外、アンディー・テイラー、ちゃんとしてます(本当にレコーディングしているなら)!」





おお。





「かなりロック寄りの作り方をされているアルバムなので、その分アンディー・テイラーのギターフレーズも必然的にフィーチャーされます。“デュラン・デュラン”とは比較にならないくらいにギターの役割が重要になってくるわけですが、アンディー、ちゃんとロックギター弾いてます(多分)」





ほほう。






「このユニットでドラムをプレイしているトニー・トンプソンはファンク/ディスコミュージックの大御所、“シック”のメンバー。さらにこの作品のプロデューサーも“シック”の名ベーシスト、バーナード・エドワーズ。こういった構成から言えば、ファンクっぽいアルバムになろうという感じがするが、かなりなロック。まあ、ファンク系になると、ジョン・テイラーもついて行けなくなりそうだしね」






なるほど。






「因みに“シック”は、ドラムのトニー・トンプソン、ベースのバーナード・エドワーズ、そしてギターはナイル・ロジャースと凄腕のメンバー。バンドとして活動していなかったときは、バーナード・エドワーズとナイル・ロジャースはプロデューサーとしてガンガン腕を振りまくり、特にナイル・ロジャースはマドンナの『ライク ア ヴァージン』を大ヒットさせ、さらにデヴィッド・ボウイの『レッツダンス』なんかも大ヒットさせている」





なるほど。






「ファンク系のメンバーと、ポップス系のメンバーでロックのアルバムを作る・・。ボーダー・レスというか、ミクスチャーというか、とにかくそのもくろみはまんまと成功して、アルバムは画期的なロックアルバムに仕上がった」





おお。






「この辺りはプロデュースしたバーナード・エドワーズの功績は大きいと思う」





ふむ。





「このアルバムの特徴的にしているのが、あらゆる楽器に使用されている『ゲート・リバーブ』の使い方」





ほう?






「『ゲート』はある一定の音の大きさにならないと音声信号を流さなくなる効果。これを極端にかけることによって不思議な効果を作っている」





・・ふむ。





「音の出だしの小さな音はカットされるし、音の終わりの残響も、ある一定の音量以下になるといきなり音が途切れる」





・・・・・・・ふむ。






「例えて言うと、『・ドーン・・』というキック(バスドラムね)の音があると、それに大げさに(あくまで大げさに)“ゲート”をかけると『ドッ』という感じになる」






・・正直字面では全く分からないな・・・。






「・・・・まあ、そうなるんですよ。」





ああ、さいですか。





「この効果があらゆる楽器に使われていて、ここまで過剰に演出するとかえってカッコイイ」






なるほど。






「ちょっとデジロック的な響きの曲に、ロバート・パーマーの艶っぽい声がミスマッチ。ゴリゴリにハデハデ」






ほう。






「80年代の最先端は、今聴いても十分カッコイイです」





なるほどねえ。
なかなかのお勧め具合であるな。





「80年代ロックとかに興味がある方は、聴いてみてはどうでしょうか」





今回はこの辺りで終わる。

また何かお勧めのものがあれば紹介していくのだぞ。