Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『ボトルネック』 米沢穂信 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 全然どうでもいい話なんですが、『ファンタ』のコマーシャルで、マーティー・フリードマンさんが、『メンバー紹介!フリードマーン!』なんて言われてるんですが、普通なら『マーティー!』って紹介しそうなもんじゃないですか。『フリードマン』て姓で呼ばれるのはちょっと呼び捨て的なんじゃないかって思ってたわけですよ。

 まあ、単純にバンドメンバーの頭文字をとって『FANTA』にしたかったんで「Friedman」てしたかったみたいですが・・・。

扱いが悪すぎませんか?すごいひとなんですけどね、マーティー・フリードマンさん・・・。


まあ、一杯やって下さい。蛇口へどうぞ。



 彼は先日、米沢穂信氏の『ボトルネック』を読了したらしい。今回はそれについての感想とかを書きたいらしい。キミにとって4冊目となる氏の作品だが。



「・・・個人的に色々と考えさせられる作品であった・・・」



ほう、面白かったのかね?



「決してすかっとさわやかな作品ではないが、その押し殺したような雰囲気がじわじわとくるね。なかなか分類の難しい内容だけど、あえて分類するならミステリーかな」



どんな内容かね。



「ゆがんだ家庭環境の影響からか世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病、ネガティブな思考の主人公「リョウ」。2年前に亡くなった恋人を追悼するために、事故現場となった東尋坊を訪れていた彼は、まるで何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街の公園のベンチにいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ女子高生。彼女は自分を知らないし、彼も彼女を知らない。しかしお互いにここは自分の家だという。彼女と会話をするうちに、自分の家と少しずつ状況が異なっていることに気づく。彼女がこの家の娘であるとしたら、自分は誰なのか。ここは「姉」が生まれた世界で、自分が生まれなかった世界なのか? 」



ほう。なんだかちゃんとあらすじをまとめたようだな。




「短めの小説だったので」



あらすじからすると、SF的なというか、良くあるパラレル・ワールドものっぽいが。



「まあ、パラレル・ワールドものといえばそうなんだけど、それは舞台を描き出すための手段でしか無く。もっと深いところに話しの本質はある。別にドキドキワクワクの冒険SFミステリーという物では無い」




そのことを知っていて購入したのかね?



「・・・購入理由は、以前読んだ氏の小説が、少年向きの青春学園物だったので、大人向けの小説はどんなものをかくのだろうということに興味があって。あと、タイトルの『ボトルネック』と言う言葉にちょっとブルースとかロックな印象を持って、音楽系の内容なら良いなと思って」




ボトルネックはブルース・ギターのスライド奏法に使われるからな・・・。実際には違ったわけだ・・・。



ボトルネックは、『スムーズな流れを阻害する要因』なのだそうだ」




結構考えさせられたようだが。




「個人的にね・・。この本で描かれているのは、『自分は世界から必要とされているのか』『自分は役割を持ってこの世界に生まれてきたのか』。もし自分に本当に価値を見いだせなかったら、もしくはあるとき突然不必要であると思ってしまったら・・・。ミステリーやSFのスタイルを借りて読者にそれを突きつけてくる」



青春学園物でデビューした方とは思えない重さだな。




「重たいテーマ、そして舞台となる北陸の晴れることのない冬空・・。主人公の暗鬱な気持ちは読者にもしみこんでくる」




読み終わってどうだったかね。



「あまり書きすぎるとネタバレになるのであれだけど、ラストまで読むとネガティブな気分にぐずぐずと沈み込んで行く。多分前向きにちゃんと生きて行ってる人には全く共感出来るものはないけど、マイナス思考の人や青春時代に自分の存在に疑問を感じたことがある人などにはかなり重たく感じる物があると思う」



落ち込んでるときとかには読まない方が良いようだな。



「明朗快活な内容ではないので」



お勧めできる小説かね。



「氏の青春物しか知らない、という方には、氏の別の一面が垣間見られて新鮮かも知れない。興味があるならお勧めする。ただし、マイナスな気分の時には読まない方が良いかな・・?」



基本的にキミは、マイナス・ネガティブ・ペシミティブ・・・その他あらゆる負の心理で動いているから、かなり堪えたんじゃないか?



「ラストではかなり感情移入してしまった・・・。重い・・・」




出来るだけ明るく暮らせるようにな・・・。