Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『インシテミル』 米沢穂信 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 夏はものが腐りやすいですからね。生水に注意して・・・、あれ?自らの首を絞めてる?





 過日彼は、米澤穂信氏の小説、『インシテミル』を読了したらしい。今回はそれについてモシャモシャと感想とかを書いてみたいそうだ。米澤氏の小説はちょくちょく読んでいるようだが。










「元々青春小説っぽいものを書いていた人で、そんなにメジャー路線でもなかった人って印象なんだけど、まさか作品が映画化されることになろうとは・・・」





ほう。





「今回読んだ『インシテミル』は、ホリプロの創立50周年記念映画として、2010年の秋にロードショーされることが決まっているそうだ」





十分メジャー路線なのではないか?





「まあ、2007年の『このミステリーがすごい!』で10位にランクインしていたらしいので、なかなかメジャーなのかも知れませんな」






では例によって内容とかに触れてみるかね。






「本書はミステリーもので、なかなかに内容を明かすのはデリケートなのであるが・・・。まあ、ネタバレ注意と言うことで。


 大学生の結城は、コンビニでアルバイト情報誌を立ち読みしているときに、同じくアルバイトを探しているというなんだか浮世離れしている須和名 祥子という女性と出会う。そのとき二人が立ち読みしたアルバイト情報誌には、『時給11万20千円、期間七日間。実験のため24時間監視および時間拘束』という謎めいたアルバイト募集広告が掲載されていた。

 興味本位で募集に応募した結城は、アルバイトの集合先で須和名の姿を見つける。彼女もその高額のアルバイトに応募していたのだ。

 普通とは思えない高額なバイト料。アルバイトの内容は、閉鎖された建物の中に12人の見知らぬ人間を閉じ込めて、24時間、7日間監視をされ続けるというものだった・・。仲間を殺せば報酬が上がるなどのルールが明かされていくが・・・」




・・・尻切れトンボ的あらすじであるな。





「ミステリーであまりないように触れまくるのはあれな感じなので。ここは『ありがとう浜村淳です』ではないので」






なるほど。





「本作は、閉鎖空間の中での殺人、クローズド・サークルとかって言われるジャンルに分類されるかと思います」





ふむ。





「作者も古今東西のクローズド・サークルものをリスペクトしているらしく、『そして誰もいなくなった』を想起させる舞台セットがかなり序盤から登場します。」





ほう。





「話の構成自体もよく練られていて、飽きさせずにラストまで持って行きます」





ふむ。




「しかしながら、ある意味オーソドックスで、フラグの立てられ方や伏線は意外にも素直な感じがしましたね」





なるほど。






「なので、あまり構えて読まずに素直に物語の世界に流されればいいのではないでしょうか」






ほう。




「閉鎖空間に、単に殺人鬼がいてといった感じではないので、最後まで飽きずに読み終えることが出来ました」





なるほど。

作品自体はおもしろかったのかね。






「十分おもしろかったですよ。精神的に“重い”であるとか、考えさせられるであるとかってことはないので、単純に暇つぶしで読み始めてみるのもありかと思います」






ふむ。
では、この作品はおすすめかね。






「おすすめできる作品であるかと思います。秋の映画の公開前にあらかじめ知識を仕入れておくもよし、通勤通学のお供に、ミステリーを読みたいなという方に。ただ、よくある“推理もの”ではないので、純粋に推理が楽しみたい方は肩すかしを食らうかも知れません」






ほほう。

ところで、タイトルの『インシテミル』とは?






「・・・うーん、特にネタバレというほどのこともないのですが、まあ、内容を読んでみてください。ここでは書かないでおこう」






・・・なるほど。

まあ、また何かおもしろい本などを読めば皆さんに紹介するように。