いらっしゃいませ。
水、こちらでどうぞ。
過日、彼は神戸元町の韓国料理屋の前で、このようなものを見つけたらしい。
「なんだか頑固そうな顔をした石像です」
何だね、この石像は。
「石像の胸にかけられているプレートを見ると、『トルハルバン』という名前の、韓国・済州島の民間信仰の守り神みたいな物らしい」
ほう。
そもそもどこで見かけたのかね。
「神戸市中央区のJR元町駅東口を南に下ったところにある韓国料理屋『美男子(ミナンジャ)』という店の前に置いてありました」
食べログに記事を見つけたのでリンクを貼っておきます。
http://r.tabelog.com/hyogo/A2801/A280102/28000902/
「ちょっと独特な感じなので興味が出て、ネットでちょっとだけ調べてみました」
ほう。
「この像は韓国でも済州島独特の物だそうで、ハワイや太平洋に各島々にも似たような風習があるとのこと」
そもそも、名前の『トルハルバン』というのはどういう意味なのかね。
「済州島の方言で、『石製の爺さん』という意味なんだそうだ」
ほう。
「済州島各地に約45の『トルハルバン』があり、平均的な大きさは180㎝と結構大きい」
見かけた石像も大きかったかね。
「高さ60㎝くらいかな?家庭用サイズのレプリカという感じでしょうか。きっと各家庭の玄関先に置かれているのではないかと思いますよ」
沖縄の家の玄関先に『石敢當』が置いてあるのにちょっと似ているかもね。
「日本各地に道祖神信仰みたいなものはたくさんあるので、それらと似ているかも知れません」
ちょっとネットで見た情報をまとめてみよう。
・石像の由来には諸説があるが、その一説は風水学と関係する。済州島にそびえる漢拏山には女の気が強いため、霊能者が男を象徴する石像を建てたという。
・最初に建てた56基のうち、49基は現存するという。
・トルハルバンの特徴は、男性の性器を表す(?)帽子をかぶり(韓国の伝統的な帽子「モジャ」という説もある)、大きな目鼻にお釈迦様の口。一説によると、腕は右が上だと文官、左が上だと武官を表す。鼻に触れると男の子を宿すという言い伝えも。触れる部分によって男女が変わるらしい。
「そういえば何かのテレビで済州島は女性が強い島なのだなんてことを言っていた記憶があるね・・・」
元々のモデルは何なんだね。
「どうもネット情報ではそのあたりのことが不明ですな・・・。神話の登場人物なのか、武将なのか、・・・はたまた単なるその当時済州島に暮らしていたおっさんがモデルなのか・・・」
まあ、道祖神信仰の発祥なんて曖昧な物が多いからね・・・。関帝みたいに成立が分かりやすいものなんて、逆に少ないんじゃないのかな・・・。
「済州島は本国とはまた違った文化が流れているらしいので、興味がある方は観光旅行にでもどうぞ」
歴史的にもなかなか数奇な運命をたどってきているらしいな、済州島というのは・・・。
「島の歴史は、少々複雑なのでこの場では書かないが・・・」
ほんの少しアカデミックな記事で今回は終わる。