Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

読書感想文 『クジラの彼』 有川浩 を読んだ

 いらっしゃいませ。


 こう、店員がグラスの曇りを落としてる感じって、なんだか高級店に来たみたいじゃないですか?   きゅっきゅっ・・・

まあ、水しか出ないわけなんですが・・・。





 過日彼は、有川浩氏の短篇小説『クジラの彼』を読了したらしい。今回はそれについてのヘダラな感想をつらつらと書いてみたいそうだ。
今回は短編集ということであるが、読んでみてどうであったかね。












「いやあ、甘い!本当に甘い!ベタ甘という話は聞いてはいたが、噂にたがわぬベタ甘さ加減でした!」






ほう。




「有川氏本人もベタ甘ラブロマ好きとして自称しておられるようだが、さすがです。甘いです!」






甘いしか言うことがないのか。






「別に有川氏の作品のラインナップすべてがベタ甘というわけではないんだけれど、甘いものはしっかり甘い!この『クジラの彼』という短編集もかなりそちらのベクトルを向いております」






ほう。

では恒例ではあるが内容とかに触れてみたまえよ。






「・・・うーん、短編集なので、すべてのあらすじとかに触れる事は出来ないので・・。まあ、どんな感じかだけ。

 この本は表題作の『クジラの彼』をはじめ、すべての主人公が自衛隊員、もしくは自衛隊員と恋愛関係に陥るという物語集。たとえば潜水艦乗りと一般OL、貨物輸送機の乗員と新型機を設計する企業の設計者、女性戦闘機パイロットとその夫となった男性、自衛官同士の恋・・・etc.


 普段あまり一般の人間には触れることのない自衛官の生活をしっかりと取材してリアルに描きつつ、『自衛官だって人間だ、恋だってするんです』と言わんばかりに、規則や拘束が多く、だからこそ純な恋愛になるであろう彼らをテーマに、ベタ甘な展開の小説を書いている。

 まあ、そんな短編集」





なるほど。






「とにかく甘い。王道ベタ甘の詰め合わせセットという感じ。ただ、展開もわかってしまうほどの王道なのにちゃんと最後まで読ませるのが有川マジック。文章もこぎみよく、ああ、この内容で長編だと途中で飽きてしまうかもという内容でも、短篇だと結構いけてしまう」






ほう。





「恋愛下手な人が読むと、『わかる、わかる』と思えるような心理描写もある。が、意外に出てくる登場人物たちは相手の心を読みあったりして恋愛の駆け引き的なことをする。一般人の我々のほうがよほど恋愛ベタかもしれない」






へたれておるな。






「この作品の中のいくつかは氏の既存の作品の前日譚や後日譚となっている。できればあらかじめそれらの作品を読了しておけば、内容も把握しやすく感情移入もしやすいだろう」






ほう。





「短篇のタイトルを紹介しておこう。


クジラの彼

ロールアウト

国防レンアイ

有能な彼女

脱柵エレジー

ファイターパイロットの君


全六編」






ふむ。






「表題作の『クジラの彼』は、“自衛隊三部作”の一つ『海の底』の前日譚。同じく『有能な彼女』も『海の底』の後日譚。『ファイターパイロットの君』も、同じく“自衛隊三部作”の一つ『空の上』の後日譚となっている」







ほう。






「ちなみに、“自衛隊三部作”と呼ばれているものは、『塩の街』・『空の上』・『海の底』の三作品。個人的には三作品の中で『海の底』が一番作品として面白かったが、後日譚としては『空の上』の後日譚である『ファイターパイロットの君』が一番ほっこりした」





なるほど。





「さらに因みにではあるが、“自衛隊三部作”は、それぞれ想定外の有事に対する国防の話であり、自衛隊に関する内容はかなり細かく描写されていて、そう書くとハードな小説っぽいけど、これまたしっかり恋愛要素が埋め込まれている。ベタ甘の好きな女性が読んでも納得のミリタリー作品」






ほう。

まあ、あまりに恋愛にばかりよられてもな。







「氏の恋愛小説に『レインツリーの国』というのがあって、まあ内容的には物わかりの良いやたらとなんでも受け止めてくれる男と、かなり面倒くさい女の恋愛話なんだけど」





ずいぶんとざっくりだな。





「これなちょっときつかったな・・・。面倒くさい恋愛がエンディングまで延々と続いて。読んでいてちょっと挫折しそうになった」






まあ、たくさん作品があれば、中にはいろんなものもあるだろうさ。

で、どうかね。今回読んだ作品に関しての感想自体はほとんど書かれていないが、この作品はお勧めかね。






「“自衛隊三部作”を既読で、なおかつそれぞれの恋愛要素に対して問題なく感情移入ができた方、お勧めです。『空の上』『海の底』のそれぞれの後日譚は読んでおいても損はないでしょう。あと、ベタ甘な恋愛小説が好きという方、この短編集はありではないでしょうか」





なるほど。

どうかね、氏のほかの作品は読んでみるかね。






「やはりベタ甘要素満載&ミリタリーの『図書館戦争』シリーズは、いずれは読んでみたいですな。まあ、ハードカバーで買う気はしないので、いつか文庫落ちでもしたら買って読みましょう・・」






なるほど・・・。

今回はあまり感想らしい感想は書けなかったな。

また何か面白いものを読んだら、しっかり感想を書いて皆様に紹介するのだぞ!


少々中途半端ではあるが、今回はこのあたりで終わる。