いらっしゃいませ。
天気予報で、“秋雨前線が・・・”みたいなことを言っていると、ああ、秋っぽいなあなんてちょっと思うんですが、この暑さではその気持ちも半減です・・・。
まだまだ水がおいしい気温ですねえ・・・。
彼は過日、坂口安吾の短編、『桜の森の満開の下』を読了したらしい。今回はそれについてちょっと書いてみたいそうだ。古典を読むとはちょっと珍しいことではないか?
「別に本を購入して読んだというわけではなく、携帯の電子書籍をちょっと触っていたらラインナップにあったので読んでみたんだ。ページ数も少なかったし、電子書籍向きかなと思って」
ほう。
「今回は『青空文庫』からダウンロードした物を携帯で読んでおりました」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E7%A9%BA%E6%96%87%E5%BA%AB
ほう。
「なので今回は本の写真はない」
青空文庫は、要するに著作権の切れた作品をボランティアの方が電子書籍化して公開している物なのだな・・・。
「逆に、これ読んでみたいなあって本がなかったりするけど、何となく読んでみたかったって短編はこれで事足りるかな・・・」
本の内容の感想の前に、どうかね、スマートフォンで読む電子書籍は。
「うーん、短編なら有りかもですね・・・。ただこれで長編を読む気にはなれないな・・・」
ふむ。
「意外に疲れるのですよ、いろいろ」
なるほど。
では、本の感想とか内容とか書きたまえよ。
「昔は、桜の森の花の下は、恐ろしいと思っても、絶景だなどと誰も思わなかったそうだ。
・・・鈴鹿峠に住み着いた山賊はずいぶんとむごたらしい男で、街道へ出て情け容赦なく人を斬り物を奪う男だったが、そんな男でも桜の森の花の下へくるとやっぱり恐ろしくなって気が変になる。
ある時、街道で夫婦を襲い、男を斬り、女を8番目の女房として連れ帰ったが、美しいその女はわがままで、それまでの女房を斬り殺さないと男の女房にはならぬという。7人の女房のうち、6人までもを斬り殺させた美しい女は・・・」
おお?尻切れで終わるのかね。
「ストーリーよりも、もっと観念的なもので読ませるものだと思うので、とりあえずはこんな感じで・・」
この作品を読むのは初めてかね。
「古典や近代文学に精通した文学青年というわけではないので。基本的に流行作家さんの本を読むって人なので」
なるほど。
では、今回、初・坂口安吾の感想とかを述べてみたまえ。
「感想というか・・・。まず読んでいる最中は、脳内ではまるで日本昔話のようなビジュアルのアニメーションといった感じで脳内で映像化された」
ほう。
「盗賊の男のイメージ、美しい女のイメージ、満開の桜の森のイメージそれらが現実的でない映像で再生される。それはある意味ビジュアル的」
ふむ。
「物語の内容自体が現実的ではなく、また氏の文章表現もなんだか幻想的に書かれているせいか、夢物語的な感じを受けた」
まあ、幻想的な内容であるしな。
「物語の中では、満開の桜の森は恐ろしいものとして描かれているが、今まで生きてきて、桜は美しいものとしてしか認識したことがなかったので、なぜそれが恐ろしいのかどうも心理的に理解できない」
ふむ。
「まあ、別に桜がどうかという話ではないので、そこは突き詰める必要はないかも知れないが・・・?」
なるほど。
「物語を読んでいる間、ずっと行間に霞がかかっているような感じ」
ほう。
「山賊の男の夢物語であるような・・・」
夢落ちというわけではないのだろう。
「多分。何せイメージ的な物語であるので」
読み終わって、桜は恐ろしいと感じるかね。
「うーん、さらに幻想的で美しい物という意識が増した気がする。枝いっぱいの花も、ちらちら落ちていく花びらも、絨毯のように敷き詰められた花びらも・・・。やはり幻想的で美しい・・」
なるほど・・・。
で、どうかね、この作品はお勧めかね。
「近代作品に触れるという点ではお勧めですね。幻想的な空気、女の性(さが)、そんな物にじんわりと浸れます」
ふむ。
たまには古典も良いかもしれないな・・。
また、何かお勧めが紹介するのだぞ。今回ははっきりした感想が明記されないまま終わる。