読み終えるのに非常に時間がかかった。
鞄に入れっぱなしになっていたので、本がボロボロになってしまった。
最近読書をしようという意欲がわかなすぎる。日本語がおかしい。
本を読まないとこの体たらく。
気楽に読書できるカフェや喫茶店が近場に無いのも読書意欲減退の一因ではあるのだが。
やはり日本語がおかしい。
読むのに時間がかかってしまった他の要因として、この本の構成にある。
この本は内田百輭の『何だか奇妙な小品を、小品ごとにリンクさせるように百話並べて“百物語”風に読もう』という小品集。
そのため、何だか似たようで違う話がずにゅずにゅと百話並んでいるのである。
読み進めると、何だかこれは同じような世界のパラレルワールドなのか、はたまた無限ループなのかという不思議な感覚にずにゅずにゅととらわれてしまう。
平たく、本当に平たく云うと、飽きてきていたんだな、多分。
そう言ってしまうと、身も蓋もないわけで。
一話一話は大変に面白い。
夕焼けから、段々と夜の闇へと変わるような、変わらないような。
薄ぼんやりと照らし出された街灯の下、その向こうの闇をぼんやりと見るような。
風の無い夏の夜の、ぬとぬとになった心地のような。
空気が澄み切らない冬の夜のような。
夜遅い鈍行でいつまで経っても次の駅に着かない、ような。
ぬるい麦茶とぬるいスイカのような。
そんな空気感の小品たち。
これはこれで面白い。
残念なのは今の自分がこのずにゅずにゅの小品百話を一気に読み終えるテンションに無かったことだ。
リハビリにはもっと「分かり易いエンタメ」の方が良かったようだ。